
著者:津村 記久子
日本経済新聞出版社(2015-10-16)
販売元:Amazon.co.jp
「コラーゲンの抽出を見守るような仕事はありますか?」燃え尽き症候群のようになって前職を辞めた30代半ばの女性が、職業安定所でそんなふざけた条件を相談員に出すと、ある、という。そして、どんな仕事にも外からははかりしれない、ちょっと不思議な未知の世界があって―1年で、5つの異なる仕事を、まるで惑星を旅するように巡っていく連作小説。
タイトルが凄く胸に突き刺さり、でも今読んだ方がいいような気がして手に取りました。
主人公が14年間働いた職場を辞め、職を転々とする1年間の物語です。
どこまで本当か分からないですけど、いろんな仕事があるんですね…。
仕事はね、お金をもらっているわけですから、私もこの世にたやすい仕事はないと思っているんです。でも、苦痛に感じたり体を壊してまでやることなのかと言ったらそうではないと思ってます。
いろんな仕事を経験して、自分に向いている仕事なのか模索する主人公。別にやる気がないわけじゃないし、どの仕事もちゃんとこなしている印象でした。
それでもきっと、心の中に引っかかっていたのは1番最初に勤めていた仕事だったんだろうなと思います。
心身ともに疲れて、全く違う仕事に就いて見ようと思って5か所の仕事を巡って。
どの仕事も大変そうな部分もありましたし、やりがいを感じられそうな部分もありました。どの仕事も、人に恵まれていたんじゃないかなと思います。
帯に書かれていた文章が好きでした。
「やりがいのある、好きな仕事に裏切られたから、やりたい仕事より、できる仕事からやってみる。いつか、自分にふさわしい仕事を見つけるために。」
私は逆でした。やりたい仕事はなかなかやれないから、早々と諦めて受け入れてくれる仕事をしてました。いったんはやりたい仕事に就けたけど、でも給与面などの待遇でこれから一人で生きていくことに不安を感じて自ら安定を選んで手放してしまって。
そこを後悔しているわけではないけど、私は好きなやりたい仕事をしたいから、また目指してみようと思っているところでした。
主人公のようにかなりの遠回りな私だけど、遠回りした分得られたものもあるはずだ。と思って、これからも頑張って行こうとこの本を読んで改めて思いました。
<日本経済新聞出版社 2015.10>H27.11.17読了
どのお仕事も、なんだか不思議でしたねぇ。
お仕事そのものや、その効果に一癖あるものばかり。
一緒に仕事をする人たちも、一風変わった人たち。
前職を燃え尽きて辞めてしまった主人公ですが、どのお仕事もきちんとこなし、職場の人間関係や環境もうまく回せる、とても「出来る」人なんだろうなと思いました。
そんな人が、5つの仕事をめぐって、前向きに元の仕事へ戻ろうか…という明るいラストを迎えたのがよかったです。