あの家に暮らす四人の女あの家に暮らす四人の女
著者:三浦 しをん
中央公論新社(2015-07-09)
販売元:Amazon.co.jp

謎の老人の活躍としくじり。ストーカー男の闖入。いつしか重なりあう、生者と死者の声―古びた洋館に住む女四人の日常は、今日も豊かでかしましい。谷崎潤一郎メモリアル特別小説作品。ざんねんな女たちの、現代版『細雪』

しをんさんの久々の新刊。待ってましたよ〜。
この作品は谷崎純一郎さんの「細雪」がモチーフなんですね。うぅ…未読です。
同じ名前の4人が出てくるそうで。そうですかそうですか←
でも流石に谷崎作品はカラス目線や幽霊目線はないですよね^^;
大きなお屋敷に住む鶴代と娘の佐知、佐知の友人の雪乃と雪乃の同僚の多恵美。
4人の性格はバラバラで生活サイクルも違う。親子の鶴代と佐知は分かるけど雪乃や多恵美が1年以上も人の家で暮らしているということが凄いなと思ってしまいます。私は多分どうしても居心地の悪さを感じたり自分で感じていなくても気を使っちゃうと思うし。
でもある意味神経の図太い4人だから上手いことやって行けているんだろうなと思います。
最初は読み進めるのに時間がかかったのですが、それは多分大きな事件や出来事が起こらなかったからだと思います。4人の日常の生活が描かれていて退屈というわけではないんだけどなかなか読み進まない。
でもその空気感が私は好きでした。
鶴代や佐知はなんとなく浮世離れしていて、雪乃と多恵美はまあまあ現実感があってそのバランスも良かったのかな。
山田さんの存在もいい味出してました。終盤で佐知が山田さんとの距離を縮めている感じも良かった。
佐知のお父さんの存在も良かったです。人と人との関わりは夫婦でも友人でも難しいですよね。分かり合うのって難しいです。
でも、佐知と雪乃の関係が私は1番好きでした。分かり合えないところもあるけど分かろうと思いやる気持ちも感じてそれが良かったです。
真面目な感じかと思いきや語り手がカラスになったり幽霊になったり^^;その雰囲気がしをんさんっぽくて私は好きでした。

<中央公論新社 2015.7>H27.10.27読了