
著者:フェルディナント・フォン・シーラッハ
東京創元社(2013-04-11)
販売元:Amazon.co.jp
2001年5月、ベルリン。67歳のイタリア人、コリーニが殺人容疑で逮捕された。被害者は大金持ちの実業家で、新米弁護士のライネンは気軽に国選弁護人を買ってでてしまう。だが、コリーニはどうしても殺害動機を話そうとしない。さらにライネンは被害者が少年時代の親友の祖父であることを知り…。公職と私情の狭間で苦悩するライネンと、被害者遺族の依頼で公訴参加代理人になり裁判に臨む辣腕弁護士マッティンガーが、法廷で繰り広げる緊迫の攻防戦。コリーニを凶行に駆りたてた秘めた想い。そして、ドイツで本当にあった驚くべき“法律の落とし穴”とは。刑事事件専門の著名な弁護士が研ぎ澄まされた筆で描く、圧巻の法廷劇。
著者の作品は全部読んでいると思ったら全部じゃなかった!と思い読みました。
以前読んで舞台も観た「禁忌」と似た感じですね。どちらも法廷劇。
そして弁護士がどちらも圧巻。「禁忌」の方はベテランでしたがこちらは心配弁護人ライネン。最初は頼りなさそうでしたが、でも段々優秀さが発揮されてきましたね。
コリーニは本当に殺人を犯したのか、犯したのならなぜ接点が見つからない被害者を殺したのか、その展開が見事でした。
そしてこちらでも問題提起された気がします。「罪」とは何か?
読み終えたときに何が正しくて何が間違っていて、誰が良くて誰が悪いのか、分からなくなりました。
最後が衝撃でしたが、でもライネンが弁護を受けたことで、コリーニは救われたのだと私は思います。
著者さんの経歴、そして血の歴史、そして弁護士という仕事。それが相まってこのような作品が生まれるんですね。
<東京創元社 2013.4>H27.7.18読了