悲嘆の門(上)悲嘆の門(上)
著者:宮部 みゆき
毎日新聞社(2015-01-15)
販売元:Amazon.co.jp

悲嘆の門(下)悲嘆の門(下)
著者:宮部 みゆき
毎日新聞社(2015-01-15)
販売元:Amazon.co.jp

ネットに溢れる殺人者の噂を追う大学一年生・孝太郎。“動くガーゴイル像”の謎に憑かれる元刑事・都築。人の心に渇望が満ちる時、姿を現すものは?宮部みゆきの物語世界、さらなる高みへ!

ネタバレあります

宮部さんの新刊読みました。
この作品「英雄の書」の続編なんですね。完全な続編じゃないんですけど関係していた人が登場しています。私、読みましたけどいかんせん5年前なので名前くらいしか覚えていなかった^^;
始めは社会問題を取り上げた「模倣犯」や「楽園」みたいな感じなのかなと思ったら、どちらかというとファンタジーでしたね。私は嫌いじゃないんですけども・・・でもそうか・・・という印象でした。
殺人は決して犯してはいけない大罪です。
でも、いくら自分の大切な人を失ったのだとしても、その人が裁くというのは間違っていると思います。
孝太郎は正義感があって、優しい子なんでしょうね。そして繊細で、まだ子ども。
孝太郎が、自分が思い考えていることが間違いなくて正しいと思っている時点でまだ子どもで、どこまで突っ走ってしまうのだろうとハラハラしながら読んでいました。
取り返しのつかないこともしてしまいましたが、都築という人生の先輩に出会ったことは大切なことだったのだと思います。それだけが救いかなぁ。孝太郎も途中で気づいていましたけど、自分が正しいことをしたと思って犯人を抹殺したところで他の人には伝えられないし、他の人にとっては犯人が確定しないまま一生を過ごすことになる。自分の事だけではなくてちゃんと周りの事もちゃんと見ることが少しでも出来ていれば、こんなことにはならなかったのにと思わずにはいられませんでした。
最後もドキドキでした。孝太郎はどうなってしまうのか。ユーリのお兄さんのようになってしまうのかと思いましたがそうならなくて良かった・・・。ガラの裏切りは衝撃でしたが。
ただ、美香を助けられたのは良かったんですけど時間が戻っているというのはどういう意味があったんでしょうか…。実際は間に合っていなかったのだから数時間は孝太郎はあの世界に2人いたってことになっちゃわないか?なんて何だかもやもや考えてしまったのですが。そして孝太郎も思っていましたけど時間が戻るなら最初まで戻っちゃえばいいのになんて都合のいいことまで思いました^^;
でも、これでよかったんですよね。孝太郎がちゃんと前を見据えて生きていけるラストで良かったと思います。

〈毎日新聞社 2015.1〉H27.3.28読了