れんげ野原のまんなかで (ミステリ・フロンティア)れんげ野原のまんなかで (ミステリ・フロンティア)
著者:森谷 明子
東京創元社(2005-03-01)
販売元:Amazon.co.jp

秋庭市のはずれもはずれ、ススキばかりがおいしげる斜面のど真ん中にたつ秋庭市立秋葉図書館、そこが文子の仕事場だ。無類の本好きである先輩司書の能瀬や日野らと、日がな一日あくびをしながらお客さんの少ない図書館で働いている。ところがある日を境に、職員の目を盗んで閉館後の図書館に居残ろうとする少年たちが次々現われた。いったい何を狙っているのか。(第一話 霜降―花薄、光る。)?のどかな図書館を優しく彩る、季節の移り変わりとささやかな謎。『千年の黙 異本源氏物語』で第十三回鮎川哲也賞を受賞した期待の新鋭が放つ、本好き、図書館好きに捧げる受賞第一作。

ずっと気になっていた作品。でも読めていませんでした。最近続編が出たことを知り、ついに手に取りました^^も〜早く読んでいればよかった!面白かったです。
やっぱり図書館や本にまつわるお話は読んでいて楽しいです。
連作短編集になっているのですが、一つの章ごとに一つ季節が移り替わります。それも素敵です。
「第一話 霜降-花薄、光る。」小学生の男の子たちが何やら企んでいる模様。考えた計画は浅はかだけど、でも子供ながらに必死なんですよね。それは伝わりました。3人はこれから利用者になってくれそうで、それはうれしかったです。
「第二話 冬至-銀杏黄葉」文子がそこまで意気込む理由がわからずちょっと引いてました^^;別にそこまで意気込まなくていいじゃない?って思うんですけど…。可愛らしくも切ないお話でした。
「第三話 立春-雛支度」図書館に勤めていたことのある身としてはただただ鳥肌もののお話でした。こんなこと、してはいけません。それに利用者は借りていく人だけが利用者じゃないんですよ。でもこう思ってる人、いるんだろうなぁ…。
「第四話 二月尽-名残の雪」秋葉さんの家の中をのぞいてみたい。身の毛のよだつ、でも切ないお話でした。それにしても文子は不遇な恋をしてるね。でも私も身近にそういう人がいたらときめいちゃうかもなー。
「第五話 清明-れんげ、咲く」図書館の前にれんげ畑が広がっているなんて素敵です。でもこの作品が1番切なかったかな。能勢さん最後はナイスアイディア!なんだか素敵な未来が広がっていそうです。
どの章も図書館でよくある問題を取り上げつつ物語が展開していくのが面白かったです。
そろそろ続編が図書館から回ってきそうなので読むのが楽しみです。
…あぁ、やっぱり図書館で働きたいなぁ。

<東京創元社 2005.3>H27.1.20読了