少女キネマ 或は暴想王と屋根裏姫の物語 (角川書店単行本)少女キネマ 或は暴想王と屋根裏姫の物語 (角川書店単行本)
著者:一 肇
KADOKAWA / 角川書店(2014-02-28)
販売元:Amazon.co.jp

十倉和成。中堅おぼっちゃん大学の1年生にして、20歳。彼のボロ下宿の天袋から、絶滅危惧種の大和なでしこ“さち”がとつじょ這いおりてきたその日から、その停滞しきった生活は急転する!ノンストップ迷走系青春ミステリー!

書店でこの本を見て、完全にジャケ買いというやつでした。買ってないけど←
表紙を見て気になって読みました。
全体的に言うと面白かったのだけど、読み始めは現代の設定にしてはあまりにも学生たちが昭和っていうか明治っていうか←な感じがあって激しく違和感があったのですが。でもそれも読んでいくうちに慣れてきました。
そして内容も主人公の恋物語なのか成長物語なのか友人の事なのか映画の事なのか何がメインなのか分からず読むのに苦心しました^^;
全部がテーマだくらいの勢いで読んだら早かったんですけどね。
自分が住むボロ下宿先の屋根裏で暮らしていると突然現れたさちという少女。彼女のことが気になる十倉。その十倉は地元の大学に現役で合格していたにもかかわらず二浪して東京の私立大学に通い始めた変わり者。それには深い深い理由がありました。
やっぱりメインはその理由とそこからの成長物語だったのかな。
いろんなことに悩んで苦しんで、でも今の生活に流されている感じもあって、若者らしいなぁと思いました。何か…昭和な香りがしたけど。
最後はファンタジーなのかと思いきやそういう事か。と思いました。
この二人ならきっと大丈夫ですね。ほっこりして読み終えました。
個人的に感動した文章があったのでこっそり抜粋。
私も今は何かを為す、その道の途中なのだと信じたい。
p99「きっと人には何かを為すにおいて順番に積み重ねていかねばならぬものがあるはずです。他人から見ればそれは迂遠な遠回りにしか見えなくとも、本人だけは真剣に一歩ずつ前に進んでいて、きっと為すべきことを為すべきタイミングが人によって違うだけなのです。」

〈角川書店 2014.2〉H26.1.16読了