ふたつのしるしふたつのしるし
著者:宮下奈都
幻冬舎(2014-10-24)
販売元:Amazon.co.jp

この人は何も知らない。遥名も何も知らない。それが決めてだった。
傷んだ心にやさしい雨のように降り注ぐ、傑作恋愛小説。
欠けていたものが、ぴたりとはまる。そんな風にしてふたりは出会った。
勉強のことを一秒も考えない小一のハルと、生きるための型がほしいと考える中一の遥名。
別々の場所で生まれ、まったく違う人生を歩んできたふたりの成長と出会いを描く、生きることが愛おしくなる傑作恋愛小説。

温之と遥名の幼少期から大人になるまで、そして2人が出会うまでが描かれている作品です。
男の子の方のハルは少し変わった男の子。蟻の行列をずっと見つめていられる子。
ハルの心の中を読んでいるとちょっと変わった子だなと思うくらいだけど、集団行動を行う上では問題児と捉われかねないですよね。
健太君がとってもいい子でした。ハルは健太君に見つけてもらえてよかったね。中学校の養護教諭も素敵でした。
女の子の方のハルはハルと逆で自分を出さないで学校生活を送っていましたね。その気持ち、分かるなぁ。目立つのは怖いんですよね。大学生の時の気持ち、凄くよくわかる。
真面目に授業を受けて大学生をしてるのに、代返を平気で頼んで遊んでいる友人の方が楽しく生きているように見えるっていうのは、私もそうだったから。
2人の物語は別々に描かれているんですけど、微妙に近づいているところもあって、それが良いなと思いました。
第6章が本当に良いです。
私は男の人が怖いし苦手だし、結婚も家族も興味がないけど、でも宮下さんの本を読むと、こんな家族が出来たらいいなって思えます。それはきっと、今の宮下さんの生活が充実されていて幸せだからだろうなと思います。たまにツイッター拝見しますけど、ご家族の話題も多くて幸せそうですもん。良いなぁ。
温かい気持ちで読むことが出来ました。
読んでいる間、とても幸せでした。

〈幻冬舎 2014.9〉H26.10.28読了