
著者:村山 由佳
新潮社(2014-05-28)
販売元:Amazon.co.jp
「村山由佳/アンビバレンス」
写真家の比嘉と調香師の安藤――二人の男の間で揺れ惑う心と体は
「加藤千恵/パノラマパーク パノラマガール」
卒業旅行、親友とロープウェイに乗る。別々の思いを抱えたまま
「山本文緒/バヨリン心中」
無愛想で皺だらけの祖母にもかつてあったのだ、国境を超えた恋が
「マキヒロチ/10年目の告白」
断っても毎年告白して来る同級生。今年の待ち合わせは思い出の場所で
「畑野智美/黒部ダムの中心で愛を叫ぶ」
仁志君がまさかの大遅刻。彼の祖母との、奇妙な旅がはじまった。
「井上荒野/最後の島」
海があかるすぎて調子がくるった男と、めちゃくちゃがやりたい女
「角田光代/その、すこやかならざるときも」
こんな遠くまで来ることはなかった。人生に絶望していなければ。
好きな作家さんばかりだったのでこのアンソロジーを読むのを楽しみにしてました。それぞれの感想です。
「アンビバレンス」いやー…妖しいですね…艶めかしいですね…村山さんの恋愛って言い方があれですけど、何か…ねっとりまとわりつくような雰囲気を感じます。私はいくつになっても色気というものは皆無なので、こういう女性にはなれないなと思って読んでました^^;調香師の人かっこいいなと思ったんだけどなぁ…あれは引くわー。
「パノラマパーク パノラマガール」私にしては珍しく話の展開が読めてしまいました。麻友香と里瀬の関係がとても可愛かったです。麻友香と大塚君の関係も可愛かったです。大塚君の慰め方、凄く好きでした。あぁ、ちゃんと好きなんだなと思えました。麻友香と里瀬は離れてもきっとずっと友達でいられると思います。この作品が1番私は好きでした。
「バヨリン心中」現代から数十年後という設定でした。東日本大震災のことはこうやって後世に残っていくんだろうなと思います。おばあちゃんも相手も悪くない。ただ、相手のことをもうちょっと思いやるには若かったんだろうななんて思った。
「10年目の告白」短かったですね。でもこういうことありそう。
「黒部ダムの中心で愛を叫ぶ」私は弟の方が良いです←全体的にすんごく雰囲気が良かったなぁ。おばあちゃんも怖い人かと思ったら緊張していただけで、孫想いのいい人なんですよね。遅刻魔なのは考えものだけど、それ以外はすっごくいい人だと思うな。おばあちゃんも言っていたけど、別に好きになった人と一緒になれたから幸せになれるかと言ったらそうじゃないかもしれないしね〜←
「最後の島」うーん…あまり好きじゃなかったです。ごめんなさい。ちゃらいのイヤ。
「その、すこやかならざるときも」「私」が可哀想すぎて悲しかった。子供が出来たから別れてくれって子供がいない奥さんにとって1番残酷な言葉だと思う。ほかに言った言葉もひどすぎる。もっとひどい目に合わせたっていいのに←最後には結婚式をさせてあげようって思うまでになるなんて。良い終わり方でした。
どの作品も実際の恋人の聖地が舞台なんですよね。どこも知らなかったのですが、パノラマパークとかのやばら園に特に行ってみたいなと思いました。
〈新潮社 2014.5〉H26.9.3読了