
著者:東野 圭吾
光文社(2014-05-23)
販売元:Amazon.co.jp
別れた妻が殺された。もし、あのとき離婚していなければ、私はまた遺族になるところだった。東野圭吾にしか書けない圧倒的な密度と、深い思索に裏付けられた予想もつかない展開。私たちはまた、答えの出ない問いに立ち尽くす。
ネタバレあります
内容を全く知らなかったのですが、こういう作品だったのですね。
読んでいて薬丸岳さんの作品を思い出しました。私が読んだのは1冊だけでその時の問題は未成年の犯罪で、今回は死刑制度なので少し違うんですけど。
この作品は読む人によって思うところが違うと思います。
なので、あくまで私の意見を感想として書こうと思います。意見には個人差があると思うのでまあ、こんな考えもあるよねということで。
殺された小夜子の起こした行動は、私は間違っていたのだと思います。間違っていたという言い方だときついですね、深く入り込みすぎたと言いますか…。
小夜子のことを信頼して20年以上抱えていたことを打ち明けた人に対して言うにはあまりにも残酷だったのではないかなと思います。あまりにもまっとうな正論は、人を傷つけ狂わせることもあります。
沙織もそれでも一人で抱えていくには辛かったんでしょうね。
勿論、史也と沙織が起こしてしまった罪は大きいです。その段階で誰かに告げていればここまでのことにはならなかったですし、罪は罪で償わなければならないと思います。
ただ、償いというのは警察に行くことだけなのだろうかとも読んでいて思いました。特に21年経った今の段階では。
2人が犯した罪について21年間忘れたことなどはなく、沙織はリストカットを繰り返し万引きにまで手を染め、ずっとずっと苦しんできました。史也はその罪から小児科医の医師となりたくさんの子供たちを救ってきています。奥さんやそのお父さんのことも。
奥さんが中原に言った言葉は少し理不尽ではあるけど、一人の子の命を奪ってしまったけど私たち二人の命を助けてくれたという言葉は、凄く胸に染み入りました。
許すことはできないですが、2人は十分罪を償っていたのではないかと私は思います。
中原は真実を突き止めましたが、中原が相手に道を選ばせたことは良かったのだと思います。小夜子も中原のように思っていれば良かったのに。
最後に樹海から骨が出てこなかったのは、2人は十分罪を償ったのだからもう良いよって、2人の子供が赦してくれたからだと思いたいです。
最後の2人の選択は2人が選んだことですからこの結末で良かったのだと思います。
ただ、石持作品を読んでいる私としては、石持さんの作品だったらもう一つの道を選んでるんじゃないかななんて思いました。分かる方は分かると思いますが。
〈光文社 2014.5〉H26.8.24読了
問題を取り上げた作品を読むと、薬丸さんの作品を
思い出します。
私も死刑制度に関してはいろいろと思うところが
あるので、いろんな意味で考えさせられました。
小夜子はあそこまで彼女の懐に踏み込むべきでは
なかったと思います。彼女のしたことは確かに
罪ですが、それを小夜子が糾弾する権利があるとも
思えません。もっとお互いに分かり合えたら
違っていたのかな、と思えてならなかったです。
石持作品だったらもっと救いのない結末になって
いたってことでしょうか?(最近あまり氏の
作品読んでないので全然わからなかった^^;)。