盲目的な恋と友情盲目的な恋と友情
著者:辻村 深月
新潮社(2014-05-22)
販売元:Amazon.co.jp

これが、私の、復讐。私を見下したすべての男と、そして女への――。一人の美しい大学生の女と、その恋人の指揮者の男。そして彼女の親友の女。彼らは親密になるほどに、肥大した自意識に縛られ、嫉妬に狂わされていく。そう、女の美醜は女が決めるから――。恋に堕ちる愚かさと、恋から拒絶される屈辱感を、息苦しいまでに突きつける。醜さゆえ、美しさゆえの劣等感をあぶり出した、鬼気迫る書下し長編。

あ〜…何か懐かしい感じだ。この痛々しい感じ。心を抉られる感じ。
この物語は2編に分かれていて「恋」は元タカラジェンヌの母を持ち自身も見目麗しい蘭花目線で「友情」は肌に強いコンプレックスを持つ留利絵の目線で描かれています。
「恋」に関しては私には無縁の世界だなーという印象。ひたすら他人事のように読んでました^^;蘭花のように綺麗じゃないし、ここまで恋に溺れることはない。だから蘭花がここまで茂美に惹かれて溺れる意味が分からなかった。客観的に見たらどうしてそんな男に固執するんだろうと思うのだけど、恋は盲目と言いますからねー…。ってタイトルに書いてますけど←
「友情」の方が共感できる部分があったかな。留利絵の顔に対してと男性に対してのコンプレックスに関しては凄く共感できた。
私も自分に自信がない。いじめは受けていなかったけど小学校に入学したばかりの時に5,6年生の見知らぬ男の子に変な顔って笑われたことがある。いまだに覚えてる。自分の顔も体型もぶさいくでアンバランスで、何もかも嫌いだ。男の人に関しても留利絵と同じ。私が男性が苦手で嫌いで信用しなくなったのは社会人になってからだけど。ただ、ここまでの友情は私にはできないかな・・・。私はここまでは出来ない。
共感できるところもたくさんあったけど、留利絵も蘭花も中身が子どものままのような印象を受けました。思っていること言ってしまったこと、分かるけどそこは言わない方がいいんじゃ・・・?って思うところがたくさんありました。
ラストがまさかの展開でまた著者さんにやられたと思ったけど、そういえばこういう作家さんだった。
救いがなかったなぁ・・・ある意味辻村さんらしい。

〈新潮社 2014.5〉H26.6.30読了