エール! (3) (実業之日本社文庫)エール! (3) (実業之日本社文庫)
著者:伊坂 幸太郎
実業之日本社(2013-10-04)
販売元:Amazon.co.jp

オススメ!
小学生の娘と暮らしながら、新幹線清掃の仕事をするシングルマザーが出合う奇跡とは!?(伊坂幸太郎「彗星さんたち」)ほか全六編。運送会社の美術輸送班、東京消防庁災害救急情報センター、ベビーシッター、農業、イベント企画会社など、多彩な職場で働くヒロインたちの奮闘を描くお仕事小説アンソロジー第三弾。それぞれの仕事の裏側や豆知識も満載。オール書き下ろし!
原田マハ「ヴィーナスの誕生 La Nascita di Venere」(美術品輸送・展示スタッフ)
日明 恩「心晴日和」(災害救急情報センター通信員)
森谷明子「『ラブ・ミー・テンダー』」(ベビーシッター)
山本幸久「クール」(農業)
吉永南央「シンプル・マインド」(イベント会社契約社員)
伊坂幸太郎「彗星さんたち」(新幹線清掃スタッフ)

お仕事小説第3弾です。
本当にこのシリーズ大好き。女性たちが一生懸命仕事をしている姿。凄く凄くかっこいいです。この3冊を私はそれぞれいろんな思いで読んでいたなぁということも同時に思い出しました。
「ヴィーナスの誕生」美術輸送展示スタッフって初めて知りました。でもそうですよね。世界各国に美術品が運ばれて行くんですからその人たちだって知識や資格や経験が必要です。原田さんらしい作品でした。学芸員って憧れた職業だったんですけどやっぱり本当に強い強い想いがないと慣れない職業だなぁと思って早々と諦めちゃったんですよねぇ。本当に、大変ですけど、やりがいのある仕事なんだなと思いました。
「心晴日和」主人公が勝気でしたねー。異動になった理由が読んでいる側は分かりましたよ。でも気付けて良かったです。それにもともとものすごく努力家。若い頃からずっとずっと努力を続けていることは本当に凄いと思ったのでいつかやりたい仕事に就けるといいねと思いました。
「ラブ・ミー・テンダー」この主人公も良い子でしたねー。ベビーシッターって今は本当に大変だと思います。お子さんのお世話はもちろんですけど、何かあったときの責任はとても重たいですし。それでも誇りを持って仕事をしている姿がかっこよかったです。妹さんとも分かり合えてよかった。にしても妹も同級生も早とちりで突っ走りがちでしたねー。著者さんが図書館司書だったことを初めて知りました。お名前は以前から拝見していましたが読んだのは(多分)初めて。ほかの著書も読んでみたいです。
「クール」主人公は86歳のおばあちゃん。かっこよかったです。私も82歳の祖母がいますけど人生の大先輩はどっしりしていて物怖じしてなくて厳しいけど優しい。そんな印象です。田舎に住むおばあちゃんの生活を乱さないでってひたすらイラっとしました。もう一人主人公がいましたね。そうですよ、そんなひどい業界さっさとやめてしまいましょ。こっちの方もクールでかっこよかったです。
「シンプル・マインド」イベント会社ってホント大変だと思います。内容もそうですし、不景気の煽りを始めの方に受ける業界かなと勝手に思ってしまってます。それでもやりがいがありそうですし大変だけど楽しそうという印象もあります。この作品はそれだけの内容ではありませんでしたが。
「彗星さんたち」新幹線清掃員のお話。新幹線にお辞儀をすること、仕事内容や休憩室の席替えなど、以前テレビで見た「サラメシ」でも新幹線清掃員の話をしていたことがあってその内容も見たことが会ったので同じ場所かななんて言う共通点も感じて面白かったです。仕事内容というよりはちょっとファンタジーが入っていてそれが伊坂さんらしくて良いなと思いました。
どの作品も素晴らしくて、更にやっぱりあとがきの「今日も元気でいってらっしゃい!」の一言が大好きです。ずっと続いてほしいシリーズです。

〈実業之日本社 2013.10〉H26.6.7読了