
著者:大崎 梢
光文社(2014-04-20)
販売元:Amazon.co.jp
オススメ!
想い出の中に取り残されていた謎をめぐる、ミステリー珠玉集。
あの事件は、結局誰が犯人で、どう解決されて、彼や彼女はどうかかわっていたのだろう──。
知らされていなかった真相が、時を経て、意外なきっかけから解き明かされる。
多彩な趣向が味わえる、五つのミステリー。
順番に感想をば。
「沙羅の実」不動産屋さんに勤める弘司はお得意様の元へいくと家の主人に話しかけられます。ご主人はかつて小学校で教師をしており弘司のことを覚えていると言います。弘司の身にも関わった事件について語りだします。事件についてもドキドキしましたし、その事件の真相にもドキドキしました。更に最後にわかる真実。胸が熱くなって切なくて仕方なかったです。最初の作品がこれって凄すぎないか?なんて思ってしまいました。もううまく言葉で表現することが出来ません。本当に素晴らしい作品でした。
「君の歌」高校の卒業式。湯沢は祖母の快気祝いの手伝いのため同級生との集まりを断り帰路についていた。すると後ろからほとんど関わることのなかったクラスの人気者である高崎がついてきます。高崎はかつて話した中学生の時の事件について話し始めます。こちらも事件についてもドキドキでしたけど最後にわかる真実。もうこれ以上言うとネタバレになっちゃうのですがこちらも良かった。
「雪の糸」比呂美が勤めるカフェの常連だったカップルの最後の来店。カップルの話が気になり比呂美も話に参加して彼が先輩に頼まれた話を聞いていきます。この話は5作品の中では、良かったね、うん。っていう作品^^;良かったですけどほかの作品がもっと良かった。
「おとなりの」小島邦夫は近所の人と世間話をしている中で10年前に起きた殺人事件の時に邦夫の息子を見かけたと話だした。邦夫はその話に驚愕します。なぜなら当時、その現場に息子准一の会員カードが見つかり警察から取り調べを受けていたから。この話はテレビで紹介されていて1番気になっていた作品でした。もうとにかく准一君が犯人なのか犯人じゃないのか、何か事件に関わっているのか。もう気になって気になって(おそらく准一違いかと)最後がまたよかったです。
「野バラの庭へ」中根香留はとある人物の回想録を作る仕事を受け、依頼人の元へ向かいます。その依頼人の話す過去の話に引き込まれたし、何より途中でわかる出来事にびっくり。いやー素晴らしかった。
どの作品も本当に素晴らしかったです。ネタバレになってしまうのであまり言えないのが残念です。本当によかった。やっぱり大崎さんの作品は良い!
王様のブランチで初めてお顔を拝見しましたが可愛らしくて素敵な方でした。だからこんなに素敵な作品をたくさん書くことが出来るんだろうなーと思いました。
〈光文社 2014.4〉H26.6.6読了
「沙羅の実」は私も胸が熱くなりました。彼の思いを考えると堪らない気持ちになります。「野バラの庭へ」も好きでした。