ようこそ授賞式の夕べに (成風堂書店事件メモ(邂逅編)) (ミステリ・フロンティア)ようこそ授賞式の夕べに (成風堂書店事件メモ(邂逅編)) (ミステリ・フロンティア)
著者:大崎 梢
東京創元社(2013-11-09)
販売元:Amazon.co.jp

オススメ!
今日は年に一度のイベント、書店大賞授賞式の日。成風堂に勤める杏子と多絵は、初めての授賞式参加とあって、華やいだ気分でいっぱいだ。ところが朝の業務を終えて出かけようという矢先に、福岡の書店員・花乃が「書店の謎を解く名探偵」に会いに成風堂を訪れる。書店大賞事務局に届いた不審なFAXの謎を名探偵に解いてほしいというのだ。一方、明林書房の新人営業マン・智紀も、全国から書店員が集まる今日を有意義に過ごすべく、準備万端調えていた。そこへ、他社の営業マン・真柴から、今すぐ来いと呼び出しを受ける。書店大賞事務局長の竹ノ内が、今日のイベントに関わる重大問題に頭を抱えているらしい…。“成風堂書店事件メモ”と“出版社営業・井辻智紀の業務日誌”、両シリーズのキャラクターが勢ぞろい!書店員の最も忙しい一日を描く、本格書店ミステリ。

ついに!ついについについに!来ましたね!
成風堂の2人とひつじ君が出会いましたよ〜^^
ずっと引っ張っているからどんな出会い方なのかなと思ったら。
物凄く長い一日をお互い過ごしたんですねぇ。読み応えがありました。ハラハラドキドキ!読んでいて楽しかったです。
杏子・多絵コンビとひつじ君たちが別ルートでそれぞれ同じ謎について追及していくんですが、どんどん真実が近づいて行って、2組が徐々交わっていくともう読む手が止まりませんでした。
本屋さんと出版社の営業マンが走る走る。刑事ものを読んでいるようです^m^電話越しでの三笠さんのピンチのところは「本屋なのになんだこの展開!」と思わず笑ってしまいました。いや、笑うところじゃないんですけど。
ようやく出会えた時は緊迫していて会えたっていう嬉しさよりも真相が気になっていたんですけども。それと同時にひつじ君と杏子の年齢が同じくらいってマジか!?とびっくりしました(そこ?)杏子はひつじ君の第一印象を就活中の学生と表現していてそこにもウケましたが。
とにかく出会えたことが何より嬉しかったです。
事件の真相に関しても人がどう繋がっていくのか、そもそもの目的は何なのか、進んでいく展開が面白かったです。犯人に関してはもう救いようがないですね。
事件の真相も面白くて良かったのですが、私はなにより上戸さんの言った言葉が凄くずしっと重くのしかかってきました。
ここに登場する本屋さんも、出版社の営業マンたちも一生懸命本を売るために奔走して努力しているんですよね。今回そもそも出てくる人たちの目的は書店大賞の大賞が決まるパーティに出席する事でした。これはたぶん本屋大賞とほぼ同じだと思うのですが、私も生意気にも本屋大賞で気になることがなくもなかったんです。私は本屋大賞のノミネート作をいつも楽しみにしていて、候補作を読んだりするのですが、実際本を読まない人は大賞を獲った作品しか手に取らないと書店が嘆いているとニュースで報道されていたりして、そんなことを聞いたりもして悲しくなったりしてました。大賞以外にも素晴らしい作品があるのに、更にその作家さんのほかの作品も手に取ってほしいのに。なんて。大賞作品はすぐ映像化されちゃうし。それもちょっと嫌でした。
でも本屋大賞も本が売れない時代になって書店員さんたちの努力の塊なんですよね。それを一読者が、しかもほとんど図書館で借りて読んでいる人間が思うことじゃないって反省しました。
本屋さんや出版社の努力を再確認しつつ、出来れば本をちゃんと定価で買って読もうと少し決心しつつ^^;読み終えました。

〈東京創元社 2013.11〉H26.1.27読了