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著者:朝井 リョウ
集英社(2013-07-05)
販売元:Amazon.co.jp

「青葉おひさまの家」で暮らす子どもたち。
夏祭り、運動会、クリスマス。そして迎える、大切な人との別れ。
さよならの日に向けて、4人の小学生が計画した「作戦」とは……?
著者渾身の最新長編小説。
直木賞受賞後第一作!

先日「情熱大陸」で朝井さんが特集されていました。直木賞受賞後の作品ということでこの作品の打ち合わせが何度も放送されていました。
絵も著者の念願が叶ってスタジオジブリの担当の方が書いたということで実際のジブリ作品のような表紙です。
舞台は児童養護施設。何らかの事情から親と一緒に住めなくなった子供たちが暮らす施設です。私は大学生の時に2週間ほど泊まり込みで実習をしていたことがあります。
身近に小学生がいなかったから慣れなくて大変でした^^;子供たちは1日中元気。ずーっとしゃべってずーっと動いていて。働く職員の方々は本当に大変だなと思いました。
主人公は事故で両親を失った太輔。母親との約束を破ったせいで両親は死んでしまったとずっと気にしていた男の子。そんな不安定な太輔を気遣う6つ上の佐緒里。
淳也と麻利の兄妹に、ちょっと生意気な美保子。
同じ班で同じ部屋で生活している5人。
それぞれがそれぞれの事情を抱えていて、それでも頑張って必死に毎日を生きてる。
皆、強い子だと思いました。特に印象深かったのは麻利かな。みんなと一緒でいるときは甘えん坊なのに、泉に対して放った言葉。めちゃくちゃかっこよかったです。
それでも約束してもいじめている人は約束を破る人もいる。
だから、淳也や麻利の選択は一つの選択肢として正しかったのだと思います。
辛かったら逃げたって良い。笑われたら笑わない人のところへ行けばいい。
何だか思い当たる節があって泣きそうになりました…
太輔も大きくなったね。
佐緒里のことを佐緒里って言える日が来るといいね^^
温かい気持ちになって読み終えました。
あとは個人的に「BELIEVE」の歌詞が出てきたのが嬉しかった。本当に個人的理由だけど。
「情熱大陸」のなかでラストシーンについてで結構打ち合わせをされていたような気がするのですが、ラストシーンも良かったです。
出勤前2時間、退社後2時間執筆活動をされているのが本当に凄いなと思います。

〈集英社 2013.7〉H25.8.7読了