
著者:三木 笙子
PHP研究所(2013-02-22)
販売元:Amazon.co.jp
オススメ!
「探偵というのは、品のない商売だね。人が隠したがっていることをわざわざ暴き立てるんだから」
昭和30年代の新宿、珈琲店の二階に住む美しき青年・水上櫂が開いたその探偵社は、「雨の日だけ営業する」そう噂されていた―。
「第一話 竜の雨降る探偵社」
大家で幼馴染の和田慎吾が「最近、自分の店子の会社で、郵便物の間違いが多くて、応対する受付の女性が困っている」と訪れる。その会社の受付をしていた女性が行方不明になる。
「第二話 沈橙池のほとり」
浄水場で一人の女性が飛び降りて亡くなった。その友人が女性の亡くなった場所へ毎日訪れていた。
「第三話 好条件の求人」
探偵社の下にある珈琲店のマスターが愛してやまない絵師の絵を手に入れるために、櫂と慎吾は早稲田大学の学生達が巻き込まれたとある謎を解くことに。
「第四話 月下の氷湖」
慎吾は歳の離れた兄誠吾がいる。慎吾は幼いころに冬の湖でおぼれたことがある。救ってくれたのは楠木という地質学の研究者だったが、朦朧とする意識の中で慎吾は兄を見つけていた。しかし兄は自分には目をくれず立ち去った。その出来事が2人の間に壁を作っていた。
好きだ…好きです。この方が書かれる世界観が大好きです。
男性二人の耽美な感じが良いですー…時代は昭和30年代。ちょっとレトロな感じも良いですー。
慎吾と櫂の信頼と絆はとてもとても深いのに、2人の間には故郷の干拓のために大きな壁がある。近づきたいのに近づけない。傍にいるのに遠い。
良いよねっ。こういう感じ!←テンションがおかしい。
このもどかしい感じ。三浦しをんさんの「月魚」を思い出しちゃいました。太一と真志喜もこんな感じだったなぁ。
きゅんきゅんしますー。
第四話でついにその均衡が破られるんですけど意外な返しでドキドキしてほっとして。
良かった。2人はこのまま変わらず一緒にいられるんだね。ってほっこりしてよみおえようとしたらのラスト数ページでのまさかの展開に驚愕。
いきなりファンタジーになっちゃったからびっくりしました。
でも私はこの展開が好きです。
最後まで読むと、一番初めの詩のような文章が誰の想いなのかが分かります。
伏線も色々張られていたことが分かってもう…たまりません。
各章の謎解きも面白かったです。私は鈍いし特に自分で謎解きをしようとしないので←
どれもなるほどと思って読みました。
そして何よりリンクです!
第三話で有村礼が登場します。登場といっても名前が出てくるだけで本人は出てこないのですが。でも70歳でも綺麗ってどういう事だろう。気になります。さらに名前が出てきて喜んでいたらマスターが欲しがっている絵のタイトルが「別れの雨」…上がっていたテンションが途端に下がりました。というか不安になりました。あの二人はどうなってしまうのでしょう。こちらの続編も早く出てほしいなと思います。
何よりも小説全体の雰囲気が好きでした。櫂と慎吾の関係性が好きでした。
読み終えた後にしばらく余韻に浸って現実逃避していたくらい。
三木さんの描かれる作品が大好きです。新刊も予約中なので楽しみです。
〈PHP研究所 2013.2〉H25.7.31読了
ラストの展開にはビックリしちゃいましたが、こういうのも良いですね。切なかったですけど、優しい気持ちになりました。
そして!!礼の名前が出てきたときには思わず叫んじゃいましたよー!嬉しかったんですけど、絵のタイトルにはちょっと;;;でしたね。続編が読みたい!と思いますが、不安にもなってしまいます。