
著者:島本 理生
集英社(2013-04-26)
販売元:Amazon.co.jp
左の目から頬にかけてアザがある理系女子大生の前田アイコ。幼い頃から、からかいや畏怖の対象にされ、恋や遊びはあきらめていた。大学院でも研究一筋の生活を送っていたが、「顔にアザや怪我を負った人」のルポルタージュ本の取材を受けて話題となってから、状況は一変。本が映画化されることになり、監督の飛坂逢太と対談企画で出会う。話をするうちに彼の人柄に惹かれ、作品にも感動するアイコ。飛坂への片想いを自覚してから、不器用に距離を縮めてゆくが、相手は仕事が第一で、女性にも不自由しないタイプ。アイコは飛坂への思いを募らせながら、自分のコンプレックスとも正面から向き合うことになる…。
遅い「初恋」を通して成長する女性の内面を瑞々しく描いた意欲作!
良かったですー…良かったーと心から思えた作品でした。
顔にあざのある大学院生、アイコの恋物語です。
あざに対してのコンプレックスがあって、それでいろいろ苦労していて諦めたこともあったのだけど、まりえに誘われて雑誌のインタビューに応えた事でアイコの人生が少し変わり始めます。
飛坂とアイコの関係はとても好きでした。
飛坂は飛坂なりにアイコを好きでいると思いました。
でも、好きという価値観は人それぞれだから、最後はしょうがない選択だったのかなと思います。
アイコはとても魅力的な女性でした。人見知りだろうけど常識はちゃんとあるし、面倒見も良いなと思いましたし。ちゃんと大切に育てられたんだろうなというのが分かります。
アイコの真っ直ぐさは素敵だけど、窮屈で危険な気もしていました。良い面も悪い面もどっちも飛坂には見せられたのかなと思います。
2人が一緒になってほしかったけど、こういう終わり方もいいのかなと思いました。
原田君がかっこよかった!こっちはこっちで良いなと思いました。
タイトルも好き。読んでいくと中でも少し関連しているのだけど「よだかの星」を思い出したので。
最近の島本さんの小説が私はあまり合わなくて、相性が悪くなってきたのかなぁなんて失礼ながら勝手に思っていたのですが。そうじゃなかったです。良かった。
〈集英社 2013.4〉H25.6.28読了
島本さんの作品で、ひさしぶりに読後感が良かったです(笑)完全なハッピーエンドではないけれど、これはこれでよかったと思いました。アイコのまっすぐでひたむきな思いがずたずたにされなくて、良かったです(笑)
やっぱり島本さんは巧いですね〜