ランチのアッコちゃんランチのアッコちゃん
著者:柚木 麻子
双葉社(2013-04-17)
販売元:Amazon.co.jp

屈託を抱えるOLの三智子。彼女のランチタイムは一週間、有能な上司「アッコ女史」の指令のもとに置かれた。大手町までジョギングで行き、移動販売車の弁当を買ったり、美味しいカレー屋を急遽手伝うことになったり。
そのうち、なんだか元気が湧いている自分に気付いて……。
表題作ほか、前向きで軽妙洒脱、料理の描写でヨダレが出そうになる、読んでおいしい短編集。
「第1話ランチのアッコちゃん」三智子は「Yesしかいえない」と言われ彼氏と別れたばかり。落ち込んでいる時に上司である黒川敦子が自分のランチと一週間交換しないかと持ちかけられる。黒川女史ことアッコさんは曜日ごとにランチをする場所を変えていた。
「第2話夜食のアッコちゃん」三智子はアッコさんと久々に再会。アッコさんは移動販売の仕事をしていた。三智子はまたアッコさんと仕事がしたいと告げるとアッコは取引を持ちかける。
「第3話夜の大捜査先生」満島野百合は30歳。毎週合コンに勤しみ相手を探していた。思い出話をしている時にかつて校則がとても厳しかった高校の先生を思い出す。すると本当にその先生が目の前に現れた。あの頃と同じように問題児を探しているのだという。
「第4話ゆとりのビアガーデン」センターヴィレッジにかつて勤めていた佐々木玲実は今までで一番出来ない社員だった。社長である豊田は毎日残業しており社員にもそれを求めていた。無駄口を叩く人間は一人もいない。ある日、辞めたはずの佐々木が再び会社へやってきた。ビルの屋上でビアガーデンを始めるのだという。

面白かったー。素敵なお話でした。
柚木さんの作品は何冊か読んでいますが読んだ作品は全て年頃の女性たちの話でなかなか黒い悩みを抱えていたりするのですが^^;周りに支えられたり自分で変わったりして女性たちが輝いて行くというイメージです。読んでいないのはもっと心を抉られそうな気がして読めずにいますが←勝手な予想です。
アッコさんが何よりかっこいいです。働く女性。頭がよくてでもそれをひけらかさないで周りの人たちに還元している。厳しそうだけど一緒に働いたら、生きてるって実感できそうな気がするなと思いました。
三智子もオドオドしてる割に結構大胆なんですよね。本性をアッコさんに引き出してもらったかのような。きっと年を重ねるごとにもっともっと素敵になってくんだろうなと思いました。
3話と4話はアッコさんが堂々と出てくるわけではないんですけど、それでもいいお話でした。野百合は同世代だけど全く持って共感できないのはなんでだろう^^;私高校の頃は地味ーだったからなぁ。何にも校則破るようなことをしてなかったし。ちっ。もったいなかった←
玲実は近くにいたらイラッとしそうですけど、でも言ってることは物凄く的を得ていて凄いですね。ゆとり世代って私もよく分からないと思うけど、就活とかは本当に大変だと思うんですよね。それで諦めないで玲実のように前向きに出来たら良いんだろうなと思いました。
何だか元気になる作品です。読んでよかったです^^

〈双葉社 2013.4〉H25.5.21読了