閃光スクランブル閃光スクランブル
著者:加藤 シゲアキ
角川書店(角川グループパブリッシング)(2013-02-26)
販売元:Amazon.co.jp

5人組の女性アイドルグループ、MORSEのメンバー・亜希子は、年の離れたスター俳優の尾久田と不倫関係にある。パパラッチの巧は、ゲームに熱中するかのように亜希子のスクープを狙っていた。MORSEに押し寄せる世代交代の波に自分を失いかけている亜希子と、最愛の妻を失くして、空虚から逃れられない巧。最悪と思われた出逢いは思いがけない逃避行となって…。夜7時、渋谷スクランブル交差点、瞬く光の渦が2人を包み込む―。

シゲさん←の小説第2弾です。渋谷サーガ第2弾だそうです。そんな名前が付いているんですね。知らなかったです。
「ピンクとグレー」が発売されたとき、芸能の棚に置かれていたのが悔しかったと言っているのを何かで読みましたが、この作品は私がよく行く本屋さんでは小説の新刊コーナーのど真ん中に置かれていました。それを見て何だか凄く嬉しかった。…と言っても私は買ってないんですけど…ごめんなさい。
私自身が今ちょっと五月病に罹りかけているもので始めはなかなか読むのがつらかったです。特に亜希子とジャックの会話が。ジャックは亜希子の陰だから亜希子が思っている悪いことをとにかく言って貶めていく。それが怖くてしょうがなかったです。
亜希子はとても真面目な良い子なんですよね。真面目すぎるからネットの中傷記事を読んで直せるところは直そうとして、グループは由香がいなくなって自分がまとめなきゃとか自分で追いつめて。痛々しさも感じました。
「ピンクとグレー」は始め文章がちょっとまどろっこしくて読みずらいなと思ったのですがこの作品は全くそんなことはなかったです。シゲが書いた作品だっていう事を忘れるくらい(いい意味で)一気読みでした。
亜希子の感情や初めの亜希子を取り巻く環境はとてもリアルに感じました。アイドルは生もので、頑張ればいいということでもなく、若さというどうにもできない理由で切られる厳しい世界だなと。それにツイッター。読んでいて腹が立ちましたよー。特に中華屋のおじさん。悪気がないって1番タチが悪いですよね。悪いことを悪いって思っていないんですから。悪いと思ってやってる人よりも怖い存在だと思う。まさに「悲しいほどにアイドル」なんだなと。GPSを付けられているみたいに通行人にツイートされて監視されて。舞台に立ってキラキラ輝く代償としては今の時代大きすぎるような気がします。
それでも亜希子が乗り越えてまた芸能人として前に進もうとしたのが良いなと思いました。巧とのシーンは何だか涙が出そうなくらい。お互いに心の中に蠢いていたどす黒い過去が少しずつでも浄化されていったのなら良いなと思いました。
凄くよかった。渋谷サーガシリーズは三部作らしいので次回作も楽しみにしています。

〈角川書店 2013.2〉H25.5.13読了