黄金の庭黄金の庭
著者:高橋 陽子
集英社(2013-02-05)
販売元:Amazon.co.jp

お寺の閻魔様が動き回り、池の蓮の花からお釈迦様が現れる。不思議なことがおこる町に引っ越してきた青奈夫婦。ある日、質屋で手に入れたオパールの指輪がしゃべり出し…。不思議な町の平凡な日常を描く、新しい大人のファンタジー。第36回すばる文学賞受賞作。

すばる文学賞受賞作です。受賞作じゃないと多分知らないまま、読んでいなかったと思います。
良かったです。面白かった。楽しかった。じゃなくて、良かった。ですね。
主人公の青奈は結婚して3年経つのに子供に恵まれず、義理の家族にプレッシャーを与えられて焦っていた。更に色々重なって無職になり、職探しの日々。そんな中、怪しげな千ちゃんから仕事をしないかと持ちかけられます。
青奈の仕事面でも家庭面でも必死なのが伝わってきました。その気持ちが凄く伝わってきて切なくなりました。そういう現実的なところもあり、アーちゃんというどんなに悪い事をしても許される子どもの存在がどこかファンタジーで、でもそれがこの物語の鍵でもあって…
言葉で説明するのが上手くいきませんが、青奈のプレッシャーを感じている初めからの心の変化がとても良く書かれているなと思いました。
初めて気味が悪くて怖いと思っているアーちゃんの存在も変わっていきましたし、怪しい男の千ちゃんの印象も変わりましたし、何より旦那さんへの想いも変わっていったと思います。
その心の変化が良かったと思いました。
質屋で仕入れた「おしゃべりオパール」もなかなか面白かったです。長く生きているだけあっていうことはまともなんですよね^^
上手く伝えられないのが残念ですが。良い作品でした。

〈集英社 2013.2〉H25.3.14読了