
著者:鯨 統一郎
講談社(2013-01-09)
販売元:Amazon.co.jp
幕末の京都で刺客に襲われた坂本竜馬は、太平洋戦争直前にタイムスリップし、連合艦隊司令長官・山本五十六に出会う。同時に、現代で戦艦大和のレプリカを見学していた女子高生・香葉子も二人の前に現れた。彼女の未来の知識から日本に勝算はなく、開戦はあまりに無謀と分かる。アメリカの強大な国力を熟知している五十六、日本が世界の列強に居並び平和な未来を築くことを願う竜馬、家族や恋人を失う戦争の悲しみから人々を救いたい香葉子。三人は戦争を回避したい想いで一致団結するが、時の内閣は迷走。「開戦やむなし」の気運が高まり、狂信的な戦争推進派が五十六の暗殺を企てる。はたして、歴史の大河は日米非戦という予想もしない方向へと流れを変えるのか!? 刻々と真珠湾攻撃のタイムリミットが迫る……!!
鯨さんのタイムスリップシリーズ。もう9冊目…?ですか。
ここ最近のこのシリーズはちょっとむむむ?という感じだったので今回もどうかなぁと思ったのですが、今回は良かったです。私好きです^^
今回現代からタイムスリップするのは香葉子のみ。うらら達は登場しないのでちょっと最初は残念でしたけども。それよりもうらら達がタイムスリップしていることを忘れてる方が残念でしたねー。前は覚えていた気がするんですけど…。
今回の舞台は太平洋戦争直前の世界。そこに現代から香葉子と、江戸時代を生きる坂本竜馬が1941年にタイムスリップします。
この発想が鯨さんらしいなぁと思うのですが^^;
私自身、歴史はそこまで詳しくないのですが、幕末を学んだことは覚えてますが、昭和の時代ってわりと学校でもさらっと勉強するから細かい事は覚えていないんですよね。というか細かくやったのかな?…っていうくらい。
なので、今回山本五十六目線で政府がどのように動いていたのか学ぶ事が出来て面白かったです。頭に入っているかは別として…。
坂本竜馬が殺されずに長生きしていたら、日本はまた違った時代を生きていたかもしれないと良く言われていますよね。なので、頭が良い竜馬が五十六の秘書をしていたらこんな感じだったのかなぁなんて思ってしまいました。
そしてラストの展開は更にスケールが大きくてビックリ^^;そこまでしたらもうそうなるしかないよね。っていう…ネタバレになるので言えませんが。
そういえば作品の中で香葉子の愛読書の1冊に百田尚樹さんの「永遠の0」があるそうです^m^零戦という名前が出てきたときに内容が「永遠の0」を思い出すなぁと思ったらこの文面が出てきました。流石鯨さん抜かりないですねー。
〈講談社 2013.1〉H25.2.13読了
ここのところの、このシリーズはイマイチだったけど、この作品は良かった、という意見に賛成です。
当時の政府の、アメリカとの開戦だ! というムードの中で危機感を抱きつつも流される山本五十六の苦悩。
そこに未来を知っている香葉子と、肝の据わった坂本竜馬、絶対に一緒にいたら心強いですよね。それで、一人、また一人と要人を説得していく展開は素直に面白かったです。
そして、後半、山本五十六がいなくなっても……の展開も良かったです。五十六の熱意がちゃんと通じていたんだ、ってことですから。
ページ数が少ないので、ちょっと駆け足気味かな、とは
思いましたが、満足できる一冊でした。