ホテルローヤルホテルローヤル
著者:桜木 紫乃
集英社(2013-01-04)
販売元:Amazon.co.jp

恋人から投稿ヌード写真撮影に誘われた女性店員、「人格者だが不能」の貧乏寺住職の妻、舅との同居で夫と肌を合わせる時間がない専業主婦、親に家出された女子高生と、妻の浮気に耐える高校教師、働かない十歳年下の夫を持つホテルの清掃係の女性、ホテル経営者も複雑な事情を抱え…。

道東にあるホテルローヤルに纏わる男女の物語です。
連作短編集でホテルの従業員やお客さんなどの想いが描かれています。
ホテルローヤルが廃墟と化している時代にはじまり、経営されている時期、またできる前のお話が最後を締めくくります。時がだんだん遡って行くんですよね。それが上手いなと思いました。
女性の悲愴さを書いたら桜木さんはNO.1だと思います。褒めてます。
読んでいて痛々しくて辛いのに、どうしてか読みたくなって読んでいたら止まらなくなる。桜木さんの作品はいつもそう思います。だから、新刊が出れば必ず読んでいます。過去の作品も読みたいなと思ってます。
お客としての物語も良かったですが、このホテルを作った家族の物語が印象的です。
家族がいるにも関わらず若い女性と付き合い、子供が出来て新しい家族でホテルを経営することになって。
始めにホテルの末路や家族の末路が分かっているので1番最後の物語「ギフト」を読んだときは切なくて仕方なかったです。前の物語を読見返して悲しくなったり。
それでも短編集どの作品も何だか光があるような気がして、だから心に染み入る部分もあったりして。だから桜木さんの作品は止められません。
「シャッターチャンス」
「本日開店」
「えっちや」
「バブルバス」
「せんせぇ」
「星を見ていた」
「ギフト」

〈集英社 2013.1〉H25.1.28読了