
著者:坂木 司
角川書店(角川グループパブリッシング)(2012-12-01)
販売元:Amazon.co.jp
八田泳、高校一年生。そこそこ裕福でいわゆる幸せな家庭の息子。帰宅部。唯一の趣味はサーフィン。凪のように平坦な生活に自分を持て余している。だがそんな矢先、泳は製薬会社に勤める叔父がブラジル奥地へ行くと知らされた。さらにアマゾン川の逆流現象=ポロロッカで波に乗れるという情報を聞いて―小さな一滴が大きな波紋を生んでいく、等身大の成長物語。
読みました。読み始めた最初は「これは本当に坂木さんの作品か?」と疑うほど何となく雰囲気が違うなと思いました。
そもそも600ページってなんだ?坂木さんの本でそんな長編読んだことないですよ。
でも坂木さんだし…と思って読みましたけども。(言い方!)
あまりストーリーを知らずに読みましたが、てっきりポロロッカに行った話が大部分を占めている作品だと思っていたのですが違うんですね。
ポロロッカに行くまでの過程とブラジルに旅立ってからと帰国後。八田泳という人物が成長していく姿が細かく書かれていました。
始めの泳君は本当にめんどうくさがりで退屈そうでつまんない男の子でしたよ。
それでもポロロッカの存在を知ってからポルトガル語を覚えようとしたりお金を貯めたり海外旅行へ行くための準備をしたり、その段階から印象がどんどん変わっていきました。
泳は本当に良い時期にいろんなことを経験出来て良かったんだろうなと思います。
退屈だと言っていた時は知らなかった日本の住みやすさ、そして甘さ。それは日本を抜け出さないと分からないことですよね。私も読んでいて海外ではそんなことがあるのかと驚きました。
帰国してからの泳は本当にスッカリ大人になっちゃって。立派になりましたね。
でもお父さんの言うとおり。それが終わりではなく始まりなんですよね。
これからいろんなことをさらに経験して傷ついてすれて行くのだと思います。でも、泳なら大丈夫だろうなとも思います。
お父さんもお母さんも最初は印象があまりよくありませんでしたが、なかなかカッコイイ人達でした。お母さんのお父さんへの諭し方は凄かったし、お父さんは子どもっぽいのかと思ったらたまにちゃんとしたことを言うし。
こういう親だから泳もちゃんとしてるんですよね、きっと。
あ、そういえば泳と二階堂が行った引っ越しのバイトの依頼人、シンデレラティースの歯医者さんに勤める方でしたね。でも高津さんっていたかな?
〈角川書店 2012.12〉H24.12.28読了
でも、泳がポロロッカ行きの為にバイトする辺りでやっと、ああ、やっぱり坂木さんだーとほっとして、すんなり読み進められるようになりました。
ポロロッカまでの前フリは長かったですが(苦笑)、それだけ丁寧に泳の成長を描きたかったってことなんでしょうね。
私も最初、泳の両親(特に父親)にあまり好感が持てなかったのですが、最後のシーンで、やっぱり親は親なんだなぁと思わされました。
ところで、シンデレラティースに出て来たキャラが出て来たなんて全然気づかなかったです^^;やっぱり、坂木ワールドは繋がってるんですね〜^^