夜の写本師夜の写本師
著者:乾石 智子
東京創元社(2011-04-28)
販売元:Amazon.co.jp

右手に月石、左手に黒曜石、口のなかに真珠。三つの品をもって生まれてきたカリュドウ。だが、育ての親エイリャが殺されるのを目の当たりにしたことで、彼の運命は一変する。女を殺しては魔法の力を奪う呪われた大魔道師アンジスト。月の巫女、闇の魔女、海の娘、アンジストに殺された三人の魔女の運命が、数千年の時をへてカリュドウの運命とまじわる。エイリャの仇をうつべく、カリュドウは魔法とは異なった奇妙な力をあやつる“夜の写本師”としての修業をつむが…。

初読み作家さんです。
確か「本のおかわりもう一冊 桜庭一樹読書日記」に載っていたのだと思うのですが(曖昧になってしまった)それで気になっていた作家さんでした。
いやー面白かったです!この作品がデビュー作なんて凄すぎます。
三つの品を持って生まれてきたカリュドウは両親をおびえさせ、魔術師のエイリャに育てられます。しかし、エイリャが殺されたことでカリュドウの穏やかな生活は一変します。旅に出て復讐の方法を見つけ、修行を積んでいきます。
エイリャが死ぬ前に伝えてくれたカリュドウが見つけるべき「月の書」を手にした時、自分の千年前から繋がっている運命を知ります。
ファンタジー小説なので、初めはこの世界観を知るのに時間がかかりました。名前も皆さんカタカナなので誰が誰だかしょっちゅうわからなくなりましたし^^;
それでも大魔導師アンジストという人物がどれだけの事をしてきたのか、読めば読むほど読んでいるこちらまで腹ただしく感じるくらいでした。腹ただしいという言葉では言い表せないほど。
カリュドウが魔導師ではなく写本師としてアンジストに挑んだこと、そしてカリュドウが男性だったことが幸いしたんですね、きっと。
最後にカリュドウの前に現れた子供の正体を知った時、何だかこちらも息をのむような、感慨深い気持ちになりました。
乾石さんの作品をこれからも読んでいきます。面白かったー。

〈東京創元社 2011.4〉H24.12.9読了