思い出のとき修理します (集英社文庫)思い出のとき修理します (集英社文庫)
著者:谷 瑞恵
集英社(2012-09-20)
販売元:Amazon.co.jp

仕事にも恋にも疲れ、都会を離れた美容師の明里。引っ越し先の、子供の頃に少しだけ過ごした思い出の商店街で奇妙なプレートを飾った店を見つける。実は時計店だったそこを営む青年と知り合い、商店街で起こるちょっぴり不思議な事件に巻き込まれるうち、彼に惹かれてゆくが、明里は、ある秘密を抱えていて…。どこか懐かしい商店街が舞台の、心を癒やす連作短編集。
「黒い猫のパパ」引っ越してきた商店街にあるパン屋店主の恋人が黒い猫を捜していた。名前はパパという。幼いころに亡くなった父の代わりに飼っていた黒猫をパパのように感じていたのだという。
「茜色のワンピース」明里はハル洋裁店のハルエさんから頼まれごとをする。それはハルエさんがかつて着ていたワンピースを着て縁日を歩いてほしいのだという。春江さんには後悔していることがあった。気になってたまらなかった人に、思いを伝えることが出来なかった。
「季節外れの日傘」老婦人がぶたのぬいぐるみを捜しているのだがこのあたりにないかと尋ねてきた。また同時期に20歳くらいのツインテールの女の子も全く同じぬいぐるみを捜していると言っていた。
「光をなくした時計師」時計屋さんの元へ女性が訪ねてきた。名前で呼ぶ女性に明里は今まで意識したことがなかったにも関わらず気になる。時計屋さんがなぜこの商店街で時計店を営んでいるのか、その真実を知りたいと思った。
「虹色の忘れ物」時計屋さんの事が気になってきたが、明里は時計屋さんが知る過去の自分とは違うことをずっと気にかけていた。明里はこの商店街にひと月だけやってきたときの事を思い出す。

書店で表紙を見て気になり、図書館に入ったので予約しました。
予約を待っている間に予約者が増える増える。あれ?そんなに人気の作品なの?と思ったら「伯爵と妖精」シリーズを書いている方なんですね。私は読んだことがないですが、図書館では良く見かけます。シリーズものは読みたいと思ってももう追いかける元気がありません・・・気になっているシリーズはたくさんあるんですけどねー。
ということで今作。可愛らしいほっこりするお話でした。
ちょっとSFっぽくてメルヘンっぽさも感じますけど、それでもやっぱり最後に幸せを感じる作品って良いですよね。
時計屋さんの過去に明里の過去、それが繋がった時になるほどと読んでいる側も腑に落ちました。2人とも傷ついたけど、その分これから幸せになれるって信じています。
時計屋さんって本当に緻密ですよね。海外には凄い技術を持っている方がいると聞いた事があります。何か、階ごとに偉さが変わるとか・・・凄く曖昧^^;
私はタイチ君もお気に入りでした^^見た目はきっとイマドキな男の子だと思うのですが意外と古風でちゃんとした子なんですよね。そして要所要所で良い仕事をするんですよ^^
癒されるお話でした。
機会があったら(あるのか?)伯爵と妖精シリーズも読んでみたいです。何冊あるんだっけ?・・・さ、30巻・・・ム、ムリ〜。

〈集英社 2012.9〉H24.12.4読了