
著者:香月日輪
徳間書店(2012-10-05)
販売元:Amazon.co.jp
桜大(おうた)が生まれ育った「黒沼村」は、人と不思議が同居する場所。かつて沼があったとされる黒沼の森の奥には、禁忌の場所がある……。
「センセイ」と呼ばれる謎の男の人に導かれ、桜大は森で何を見出すのか。文庫書き下ろしで登場!
香月さんの新刊です。
今回の主人公は13歳の男の子。黒沼村という不思議がたくさん潜む村が舞台です。
おそらくドのつく田舎で便利なものはないかもしれないですが自然に満ち溢れているのが文章から伝わってきました。
四季折々の情景が目に浮かぶようです。そして季節ごとに拵えられる料理がとてもおいしそうでした^^
桜大はとても素直ないい子。悪い子がいても友達になろう。きっと分かり合えると信じているとってもいい子。
だからその分純粋で、とても傷つきやすい。
桜大は祖父の後を継ぎ、農業で生計を立てたいと思い農業高校へ行くことを早々と決めますが、桜大は後々その選択に対して悩むことになります。
センセイがいうように、大人の立場で子供の悩みを聞くと笑っちゃいたくなるような、からかいたくなるような悩みがたくさんありました。
でも、本人にとっては切実で、また自分の力で解決していかなきゃいけない問題なんだろうなと読んでいて感じました。
香月さんの作品は可愛らしくても素敵でも人に対する問題提起が必ずどこかにあるので考えさせられます。
今回もいろいろありましたが、素敵な物語でした。
<徳間書店 2012.10>H24.11.29読了