あと少し、もう少しあと少し、もう少し
著者:瀬尾 まいこ
新潮社(2012-10-22)
販売元:Amazon.co.jp

オススメ!
中学校最後の駅伝だから、絶対に負けられない。襷を繋いで、ゴールまであと少し! 走るのは好きか? そう聞かれたら答えはノーだ。でも、駅伝は好きか?そう聞かれると、答えはイエスになる──。応援の声に背中を押され、力を振りしぼった。あと少し、もう少しみんなと走りたいから。寄せ集めのメンバーと頼りない先生のもとで、駅伝にのぞむ中学生たちの最後の熱い夏を描く、心洗われる清々しい青春小説。

好きだー!この作品好きだー!それに、駅伝も好きだー!中学だろうと高校だろうと大学だろうと実業団だろうと好きなものは好きなんだー!!
・・・取り乱しました。すみません。
瀬尾さんの新刊、しかもテーマは駅伝!となったら読まない理由が見つかりません。昔からブログを見てくださっている方ならご存知かと思いますが、私はマラソン、駅伝バカなんです^^;
今回のテーマは中学駅伝。1区から6区を走る6人の男子生徒の物語。1区は陸上部で、走るのが早いけどあんまり自分に自信が持てない設楽君、2区は中学校一の問題児だけど走ることは好きな大田君。3区は頼まれたら断れないムードメーカーのジロー君。4区は近寄りがたい、吹奏楽部と兼任している渡部君。5区は部長に憧れてひたすら追いかける俊介君。6区は部長の桝井君。
それぞれ個性的な可愛い男の子たちでした^^桝井君は幼いころのハイジ(「風が強く吹いている」参照)みたいな感じかな。若い分冷静沈着部分が少し薄い。でもしっかりしてる感じ。
物語が1区から6区という章で別れていて、陸上部に入部もしくは駅伝に参加する課程から本番までという流れで進んで行きます。それぞれの男子たちが秘める想いが可愛らしくてきゅんきゅんしちゃいました。若いって素晴らしい!存分に悩め!←
言い方は悪いけど寄せ集めの6人だからチームワークというのはあんまりよくないのかもしれないです。それでも練習していくうちに何となくまとまって上手くいっていくのが分かって読んでいても嬉しくなりました。桝井君にみんながそれぞれかける言葉とか、渡部君と俊介君の会話とか。良いな〜って思ってしまった。襷は信頼関係がないとつなげないですもんね。
以前テレビで聞いた事があるんです。個人のマラソンレースだと、選手で倒れ込んでゴールする人ってあまりいないんです。でも、駅伝だと襷を繋ぐシーンでは走り終えた後に倒れ込む人がとても多いと。そういえばそうだなと思いました。もちろん個人レースだって大事です。でも、駅伝は団体競技で相手に繋がなきゃいけない。1秒でも早く渡したい。中継所に待っている人がいる。頭にそれが浮かぶから自分が思っている以上の力を出すことが出来るのかなって思うんです。それって危険ですけど凄い事だなと思います。そのことを読んでいて思い出しました。
顧問の上原先生もなかなかいい味出してました。陸上に関しては素人なんですけど、だからと言ってやる気がないわけじゃないんですよね。それに生徒を見下しているわけでもなくてちゃんと対等に話をしているような気がして好感が持てました。大田君に言った言葉や渡部君への脅し?はどこまで知って言ってるのかななんて思いました。ちゃんと全部理解して言ってるんですよね、きっと。
6人の男子たちの中では渡部君がお気に入りでした。違う子目線で読んでいる時は渡部君はなんて生意気な奴なんだろうって思ったらそれにも理由があることが分かって段々可愛らしく見えてきました。おばあちゃんが嫌いなんじゃなくておばあちゃんしかいない自分が嫌いっていう言葉が、おばあちゃんを大事に思っているんだろうなというのが伝わってきましたし。俊介との会話も良かった。お互いに素をさらけ出していて、意外と仲良くなるんじゃないかななんて思いました。
何だか凄く長くなってしまった^^;好きな事になると長くなっちゃうから困ります。大好きな作品でした^^読んでいてとても幸せでしたー。
私が中学生の駅伝を見るのは都道府県別男子駅伝(もしくは女子駅伝)くらいなので、来年はいつも以上に楽しみに見ようと思います。

〈新潮社 2012.10〉H24.11.20読了