あとは泣くだけあとは泣くだけ
著者:加藤 千恵
集英社(2012-09-05)
販売元:Amazon.co.jp

気鋭の歌人が紡ぐ、せつないテーマ短編集「贈り物」から浮かびあがる、人生の光と陰。婚約指輪、古びた本、たまごっち、ボールペン・・・あなたからもらった「もの」をきっかけに溢れ出す、7つの物語。せつなくも愛おしいテーマ短編集。
「触れられない光」阿弓は母と祖母の3人暮らし。父は亡くなっている。祖母が脳出血で倒れて入院し、母はますます阿弓から離れなくなっていた。
「おぼえていることもある」「おれ」は彼女の家からこっそり出ていき、しげちゃんの家に転がり込んだ。どの彼女と付き合っても、かつて付き合っていた山下紗江子の事を思い出す。
「被害者たち」「わたし」は結婚して幸せな生活をしている。でも、ふとしたとき、私はかつて付き合っていたひふみと会話をする。
「あの頃の天使」高校3年生になり第一志望の大学の合格ラインが思った以上に低く、ショックを受けて部屋の大掃除をし始め、たまごっちを見つけた。これは中学生の時に好きだった子がくれたものだった。
「呪文みたいな」「わたし」は高校で女子の集団の中の一人として生活していた。一匹狼のようなミリに突然話しかけられ、次第に2人で遊ぶようになる。
「恐れるもの」夫が会社の同僚の結婚式から帰ってきた。自分はもう夫に女がいることを知っている。夫婦の関係はもう無くなっていると言っても良かった。
「先生、」かつて高校で教わっていた先生と図書館で偶然再会した。「わたし」は教員志望なので色々教えてほしいと言い、2人は度々会うことに。「わたし」は先生に惹かれていた。

短編集です。加藤さんの描かれる文章が温かくてとても好きです。
どの恋愛も切なくて苦しくて。
どの作品も読み終えた後に泣きたくなるものばかりでした。
自分の恋愛に結び付けられるものはなかったけど^^;何だか共感できるものもあって、距離が近く感じました。
みんなよかったけど「あの頃の天使」「呪文みたいな」が好きかな。
「あの頃の天使」は中学生の頃ならではの甘酸っぱい感じで^^2人が可愛かった。久しぶりにみたたまごっちを見て「俺」は気力を振り絞って頑張ってほしいなと思う。
「呪文みたいな」の女性2人の関係も良い。学生時代はどうしても集団行動をしなきゃいけなくなる。いじめの対象になるかもしれないから興味がない事も興味を持たなきゃいけないときもある。でも2人一緒にいるときは、お互いに心から楽しんでいるような気がしました。

〈集英社 2012.9〉H24.11.15読了