宿命 (講談社文庫)宿命 (講談社文庫)
著者:東野 圭吾
講談社(1993-07-06)
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高校時代の初恋の女性と心ならずも別れなければならなかった男は、苦闘の青春を過ごした後、警察官となった。男の前に十年ぶりに現れたのは学生時代ライバルだった男で、奇しくも初恋の女の夫となっていた。刑事と容疑者、幼なじみの二人が宿命の対決を果すとき、余りにも皮肉で感動的な結末が用意される。

読みました。いやー面白かったです。二重に騙されました。
一つの殺人事件が大企業に隠された大きな秘密も絡んでいるのではないかということ。和倉勇作のかつてのライバルだった瓜生晃彦との対立。更にかつて愛した女性がライバルの妻になっている事。その妻が父親が入院してから見えない「糸」に動かされているように感じている事。そして20年以上前に亡くなったサナエの志望理由。
色んなことが絡み合ってそれが最後1つに繋がっていきます。それが見事だなと思います。その隠された秘密が20年以上前に出た作品とは思えない内容です。東野さんだから書ける作品だと思います。
今回の事件と、勇作が小学生の時に起きた好きだったサナエさんの死とが結びついているというのも驚きましたし、その後に晃彦が告げた驚くべき真実に二重に驚かされました。だから2人はライバルで、2人が再びであったことは宿命だったんですね。
ちょっと内容が外れますけど、サナエの境遇はドラマの「ハルモニア」を思い出しました。ユキ(だったっけ?)も確か同じ感じでそうなってしまった人だったはず…(ちゃんと言わないと意味不明ですが^^;)人は人を利用しちゃいけないですよね。サナエのような人を生み出してはいけないと思いました。サナエが可哀相すぎます。

〈講談社 1990.6
      1993.7〉H24.10.27読了