おまけのこ (新潮文庫)おまけのこ (新潮文庫)
著者:畠中 恵
新潮社(2007-11)
販売元:Amazon.co.jp
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「こわい」床に臥せっている若だんなを心配して栄吉が作ってくれたお菓子が原因で2人は珍しく喧嘩をしてしまった。気にやんでいる若だんなのもとに狐者異(こわい)という妖がやってきて、一流の職人になれる薬があるという。栄吉にいいのではと考えた若だんな。が、それを聞いた日限の親分、左官の力蔵、植木職人の万作が次々と怪我をした。仁吉たちはそいつに関わると不幸になるからかかわるなという。
「畳紙」紅白粉問屋の孫娘・お雛は許嫁・正三郎の姪の於りんをつれて長崎屋を訪れていた。様子がおかしいお雛を気遣う若だんな。しかし、はしゃいだ於りんが寝ている若だんなの上に乗ってしまったので慌てて退散。その際、於りんが印籠を持ってきてしまう。返そうと思いその日に床に就くと、屏風のぞきがやってきた。お雛は夢だと思い、屏風のぞきに自分の厚化粧に対する悩みを打ち明ける。
「動く影」若だんなは久しぶりに影女を見かけた。仁吉と佐助は長崎屋に来てから影女を見た記憶がない。若だんなが見たのは5歳の時だという。子供たちの間で影女が現れ、子供を向こうの世界に連れ込んでいくという噂が立っていた。栄吉をはじめ近所の子供たちと影女の正体を探る。
「ありんすこく」ここ最近元気な時が続いている若だんな。その褒美として父親は若だんなを遊郭へ連れて行った。後に仁吉と佐吉に若だんなは禿のかえでという少女を足抜けさせるという。かえでが心臓の病を持っていることが分かったからだ。しかし、足抜けさせるには様々な問題があった。
「おまけのこ」家鳴は長崎屋の客が持ってくる菓子を目当てに店に潜んでいると、天城屋の旦那がやってきた。娘へ財産の代わりに持たせようと思った真珠の仕入れを頼んでいたのだ。簪にするために職人が一緒に来ていたがその職人が庭で倒れているところを発見された。真珠が入っていた袋は消え、その真珠に興味を持っていた鳴屋も姿を消していた。

しゃばけシリーズ第4弾です。
ずーっと読みたいと思いつつ読むのがもったいないと思い、数年が経過し、いい加減読まなければと思い、今年ちょこちょこ読んでいます^^;
今回も面白かったです。どの作品もどこかほのぼのしていて良いですね。
「こわい」は本当に名の通り怖かったです。そしてかわいそうでした。狐者異自身が悪いわけではないのに嫌われてしまう。「僕僕先生 さびしい女神」の魃を思い出しました。若だんなが受け入れようとしてそれを拒否した理由も切なかったです。まあ、受け入れてしまったら長崎屋は大変なことになると思うのでそうならなくて良かったかなと思わなくもないですが…。
「畳紙」こちらは以前登場した厚化粧を施すお雛が登場。きっと厚化粧をするのは理由があるとは思っていましたが、やはりちょっと切なかったですね。きっと化粧をしなくても十分可愛らしいお嬢さんだと思うのですが。屏風のぞき、やりますね^^あれくらい不躾の方がいいのかもしれませんね。今後が気になるお嬢さんでした。
「動く影」こちらは若だんなが5歳の頃のお話です。若だんなを始め栄吉や周りの子どもたちが可愛らしかったです。若だんなの冒険物語ですね^^最後にお父さんの膝で眠っちゃってるのを想像すると可愛くて萌えました。
「ありんすこく」若だんな、冒頭になんてことを言うのかしらと思っていたけど、ちゃんと理由があったんですね。色々ありましたけど、上手くいって良かった。
「おまけのこ」このお話は家鳴が頑張りましたね^^頑張ったのか?自業自得なのか…まあ、頑張ったんですね←こちらは家鳴が可愛かったです。

〈新潮社 2005.8
      2007.11〉H24.10.19読了