嘘をもうひとつだけ (講談社文庫)嘘をもうひとつだけ (講談社文庫)
著者:東野 圭吾
講談社(2003-02-14)
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「嘘をもうひとつだけ」バレエ団の事務員が自宅マンションのバルコニーから転落、死亡した。事件は自殺で処理の方向に向かっている。だが、同じマンションに住む元プリマ・バレリーナのもとに一人の刑事がやってきた。彼女には殺人動機はなく、疑わしい点はなにもないはずだ。ところが…。
「冷たい灼熱」田沼洋次は帰宅すると、いつも出迎えてくれるはずの妻田沼美枝子はやってこず、家の中も真っ暗だった。リビングの電気をつけると美枝子は死んでおり、息子祐太の姿はなかった。
「第二の希望」真知子は娘の理砂を体操のオリンピック選手に育てようとすべてをかけてきた。理砂もまたそれを自覚しており、練習に勤しんでいた。真知子が自宅へ帰ると、恋人の毛利が殺されているのを見つける。
「狂った計算」奈央子は数日前に夫を事故で失っていた。花を買う以外はほとんど外へ出ることはない。ある日、加賀という刑事が奈央子の元を訪れる。中瀬という家の点検に定期的に来てくれていた人が行方不明だという。またその妻の元へ、彼が不倫しているという電話もあったのだという。
「友の助言」萩原保は友人の加賀に相談事があり、彼と会う予定だった。しかし、向かっている時に眠気に襲われ彼は事故を起こしてしまう。数か所を骨折し、入院を余儀なくされたが命に別状はなかった。加賀が見舞いに来た際、気になる言葉を萩原にぶつける。

加賀刑事シリーズです。割と過去の作品ですね。短編集だとは思いませんでした。
どの作品も登場人物が少ないので犯人は冒頭で割と分かります。ですが、どうして殺したのか、そのトリックは何か、それが気になって読む手が止まりませんでした。
また、やはり加賀刑事の粘り強い捜査が良いですね。
相手に邪険にされても喰いつく喰いつく。そして加賀刑事は真実にたどり着きます。
最初の事件「嘘をもうひとつだけ」ではバレリーナが関わってくるのですが、加賀刑事がバレエに関してやたら詳しくて、一人でニヤニヤしてました。
今は30代半ばな加賀刑事ですがこの作品では30代前半と言われていて、落ち着いた眼光鋭い刑事というのに変わりはないですが、やはり何となく若い気がします。
そしてこのときは練馬にいる加賀刑事。ここから警視庁捜査一課に異動して「ある殺人事件の裁判で、弁護側の情状証人として出廷した」ために日本橋署へ回されるという展開になるわけですね。あれ?そうでしたよね?
加賀刑事が出てくる作品でまだ読んでいないものも数冊あるので読んでいきたいと思いますー。

〈講談社 2000.4
      2003.2〉H24.10.4読了