
著者:瀧羽 麻子
小学館(2012-04-23)
販売元:Amazon.co.jp
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初めて恋するときめきを描いた純情恋愛長編
四年間の学生生活を送った京都で、山根は四月一日から工業化学科の大学院生として新たなスタートをきった。学部生のころから暮らしている学生寮には、生物学科の安藤をはじめ電気電子工学科の寺田などゆかいな仲間たちのほか、数学科の龍彦もときどき遊びにやってくる。研究室でその日、明け方までかかってやっと山根は仮説を裏づける数値を導き出したが、教授から簡単な計算ミスを指摘され、ひとり居残りを命じられる。気分転換に糺(ただす)の森を訪れると突然の雷雨に見舞われ、豪雨の中に浮かび上がる満開の山桜の向こうに、白いワンピースを着たそのひとがいた。あれこれ考える前に楼門の下まで駆け寄り、自分の傘を彼女の足もとに置いて、一目散に立ち去っていた山根。ずぶ濡れになったせいか熱を出し、熱が下がってからもどうも様子がおかしい。そして京都御苑での花見の席で、龍彦のガールフレンドの花にいとも簡単に見抜かれる。「山根くん、もしかして好きなひと、できた?」。花は言う、もう一度姫に会いたければ、下鴨神社に毎日参拝すべし――と。
ネタバレあります
「左京区七夕通東入ル」の続編です。前回主人公だった龍彦君と花ちゃんの友達、山根君の物語です。
山根君のおそらく初恋物語。あまりにも奥手な山根君が可愛くて可愛すぎて母性本能をくすぐりましたよ。どうしてそうなるー!とツッコミどころが満載すぎます。
でも、山根君は頑張りましたよ。最初は花ちゃんのアドバイス通りでしたけど、正直に話してからは自分から頑張りましたし。
きっと報われないんだろうなぁと思いましたけど←
女性との関わりが皆無に近かった山根君にとってはいい経験だったのではないでしょうか。まあ、中学生のデートみたいだったけど(失礼な)
前回はあまり登場しなかった寮長、料理人、管理人の皆様もいい味出してました。
龍彦と花もあまり登場しなかったけど、2人の距離は更に縮んで、全然雰囲気の違う二人だったのに何だか似てきているのが分かって可愛らしく見えてきました。
山根君はこの恋愛をバネに、良い恋もしてほしいなと人の事を言ってる場合かと思いつつも思いました。
〈小学館 2012.4〉H24.9.25読了