ねこのばば (新潮文庫)ねこのばば (新潮文庫)
著者:畠中 恵
新潮社(2006-11)
販売元:Amazon.co.jp
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「茶巾たまご」最近とみに元気で食欲もある若だんな。逆に手代たちが心配するほどだ。どうやら「福の神」がいるのではないかと考える。最近来たといえば、下男の金次だけだった。その金次も関わっている兄の見合いでの縁談相手だった女性の姉が亡くなった。どうやら殺されたらしい。
「花かんざし」5歳の迷子の女の子於りんはどこから来たのか何も言わない。於りんは川向こう、深川の材木問屋・中屋の娘だということがわかったが「家に帰ったら殺される」と言う。家を訪ねると対応してくれたのは於りんの叔父である正三郎という者で両親の姿はなかった。
「ねこのばば」広徳寺で木に派手な布で作られた巾着がたくさんぶら下がっていた。その広徳寺に猫又になりかけている猫が部屋に閉じ込められているという。広徳寺には妖封じで有名な寛朝がおり、手代を連れて出かけた若だんなは木の下に血だらけで倒れている坊主を見つけた。
「産土」佐助の物語。周りの問屋がつぶれていく中、何やら怪しげな会合に通うようになった旦那。店の状況は悪化しているだろうに、銭箱に小判が入るようになる。「仏も鬼も手づくねにして」という紙が添えられていた。
「たまやたまや」菓子司三春屋の娘、お春に縁談話が持ち上がった。相手は献残屋の息子・庄蔵。若だんなのことをいまだに好きだというお春の為に庄蔵について聞いて回る若だんな。しかし、近所での評判はよくない。庄蔵を見つけると、一緒にお侍に捕まってしまう。

しゃばけシリーズ第3弾です。
この作品は1冊目がとても好きで、手元に置いておきたいと思い文庫になるたびに買っていました。しかし、読むのがもったいないと思ってしまい、数年放置。一体何年経ってしまったのかすら分からない状況になりました^^;
ちょいちょい読めたら良いなと思っています。
あまりにも長い期間放っておいちゃっていたから若干忘れていたこともありましたが、読んでいくうちに思い出してきました。やっぱり若だんなと妖達の関わりが良いですね。癒されます。
今回も短編集でいろいろと若だんなが騒動に巻き込まれていきます。
「花かんざし」の下手人が意外でした。ちょっとホラー?に近かったかもしれません。そして「産土」・・・私はすーっかり騙されてしまってました。皆さんは騙されなかったんでしょうか。え〜〜!!?と思ったら次の瞬間あれ?っていう^^;騙された〜悔しい〜。でも、若だんなが無事で良かったです。佐助にも切ない物語があったのですね。
「たまやたまや」は切なかったです。淡い恋物語ですね。お春の縁談の相手がちゃんとしたかどうか見極めるために人に内緒で聞き込みをするなんて、なかなか若だんな素敵じゃないですか^^最後はちょっと切なくなりましたけど、それでよかったんですよね。

〈新潮社 2004.7
      2006.11〉H24.9.6読了