LOVE&SYSTEMSLOVE&SYSTEMS
著者:中島 たい子
幻冬舎(2012-08-24)
販売元:Amazon.co.jp
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「アマナ」N国のヤマノのムスメが雑誌のインタビューに答えることになった。N国では結婚適齢期になると家族庁から自分に合った男性を選出され、結婚をする。名前はなく、女性は仕事を持つことが出来ない。彼女も同じように結婚が決まっている中でのインタビューだった。しかし、雑誌記者ロウドと出会った事でその想いが揺れ動く。
「トレニア」J国の史郎は70歳になる。酒を飲んで帰るところで雑誌記者のロウドに話しかけられる。取材だという。史郎を選んだ理由はみんなが暗い顔をしているのに幸せそうだったからだという。史郎は結婚するのだと告げた。
「ナコの木」ロウドは幻の国を探していた。地図にも載っておらず途方に暮れている所にタロとナコというカップルが道案内をしてくれるという。その国は「パングゥ」といい、何をするにも自由と言われている国だった。
「ヒメジョオン」F国は子どもができると全員が自治体に育てられる。ロウドはそこからいなくなったことがあった。その時の事を忘れていたが、死を目前とした父を見、その過去を聞いた事で唐突に思い出す。

最初の感想は中島さんの作品っぽくない!でした。
中島さんといえば30代女性が主人公でだるーい感じで女性独特の悩みを抱えているという作品が^^;多いのだけど。
今回は新境地ですよね。私はとても好きです。
まずロウドという雑誌記者の人柄が好きです。何だかマスコミっぽいイラッとした部分がなくて。
各国はそれぞれ考え方や制度が全然違うのだけど、どの国の考え方も良いとは思うのだけどどこか何かが足りないというかなんというか。
私はこの中ならF国が良いかな。子供が近くにいないのは悲しいけど自分の意志で働くこともできるし比較的自由な気がするから。
ロウドとアマナの出会いは割とあっさりした感じだったので、そんなに情熱的な恋だったのかななんて思ってしまったのだけど^^;
それでも最後の「ヒメジョオン」でお互いの想いが切ないほど伝わってきてずっとすれ違っているのがもどかしかったです。アマナが母親の秘密を知ってしまったことが大きかったのでしょうね。アマナの母親の笑顔を写した写真家の人はきっとあの人なんだろうな。
ロウドの最後にしたことはナイス!と思いました^^
素敵なお話でした。こういう作品も良いですね〜

<幻冬舎 2012.8>H24.9.5読了