さくら聖・咲くさくら聖・咲く
著者:畠中 恵
実業之日本社(2012-08-18)
販売元:Amazon.co.jp
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中学生の弟・拓を養うため、元大物政治家・大堂剛の事務所で事務員として働く佐倉聖は大学三年生。大堂のコネを使わずに、就職活動に励む日々を送っている。
大堂門下の議員達から持ち込まれる難問珍問を鮮やかに解決してきた手腕で、大企業の面接中、閉じ込められた社員救出(?)に一役買ったり、加納代議士のストーカー騒ぎ、候補者の当落を予想する“神"の正体捜し等の謎を次々に解明。
一方で、インターンシップ先をなぜだか二ヶ月で首になったりと、就職戦線は波乱含み。
そんな聖のもとに、エントリーしていない五つの会社から「内定」通知が舞い込む……。
聖の前に広がるのは、果たしてどんな未来なのか?

「アコギなのかリッパなのか」の続編です。と言っても、前作を読んだのが6年前なので私はほとんど覚えていませんでした。それでも十分に楽しめる作品です。
主人公聖は大学3年生で就活まっただなか。中学生の弟拓を養うために堅いサラリーマンになることを決意し、就活に勤しんでいる。しかし、大堂の事務所で働いているという情報を知ると企業側から来てくれとコネ入社を薦められることもしばしば。
私も就活中は大変だったので、コネが一切ない側から言わせてもらうと羨ましい限りなのだけど、会社側は聖がほしいんじゃなくて大堂とのパイプがほしいんだものね。それだけで聖をほしいと思っている会社には入りたくないですよね。
そんなコネなんてなくても聖は本当に出来る人で、引く手あまたになるんじゃないかというくらいよく働く人です。
就活にバイトに家事にいつも忙しいのに厄介ごとまで引き受けて本当に凄いなぁと思います。こんな子が本当にグレてたの?って思うくらい^m^
始めは聖の就活についてが主で、自分のせいじゃないのに色々巻き込まれて就職先がいくつか不意になって可哀相な感じでした^^;
それでも拓の養育費も何とかなりそうで、自分は何がしたいのか、何が大事なのか分かったみたいで、ほんわりと読み終えた気がします。
オヤジ達と縁が切れてしまうのが寂しいなんて可愛いなぁ。
最後の親父と小夜子さんの表情は、聖よりも一枚も二枚も上手なんだろうなと思いました。またこの不思議な事務所でのドタバタ話が読めるときが来るといいなと思います。

〈実業之日本社 2012.8〉H24.9.4読了