文庫 セレモニー黒真珠 (MF文庫ダ・ヴィンチ)文庫 セレモニー黒真珠 (MF文庫ダ・ヴィンチ)
著者:宮木 あや子
メディアファクトリー(2011-10-22)
販売元:Amazon.co.jp
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オススメ!
町の中小葬儀屋・セレモニー黒真珠は、忙しかったり、ヒマだったり。
いちおうまだ20代なのに40代にもまちがわれるほどシッカリしすぎな29歳女性・笹島に、悩めるメガネ男子26歳・木崎、何やらワケアリ気味の新人女性派遣社員21歳・妹尾。
葬儀屋を舞台に男女3人の仕事と恋愛を描く連作短編集。
宮木あや子流ラブコメは、泣けるラブコメ。
「セレモニー黒真珠」派遣で入ってきた妹尾はとてもしっかりしている女性だった。ある日病院から一人の男性が亡くなったと連絡が入る。その人物は妹尾が「死ぬのを待っていた」男性だった。
「木崎の秘密」木崎は幼少のころから火葬場の煙突から上がる煙を見るのが好きだった。そしていつからか死んだ人が見えるようになる。大学時代の磯部から祖母が亡くなったと連絡が入る。彼の家へ行くと掃除は施されておらず、鬼のような形相の霊が木崎をにらんでいた。
「主なき葬儀」妹尾は音信不通だった父が亡くなったことを郵送されてきた手紙から知る。葬儀をしてくれる人がいるはずもなく怪しんで葬儀場へ行くと、父の亡骸があった。
「セレモニー白真珠」5年前の想いをいまだに引きずっている笹島。その相手から5年ぶりに連絡が入る。彼の妻が亡くなったらしい。
「あたしのおにいちゃん」私はお兄ちゃんが大好きだ。それを素直に伝えるとたいていの相手はドン引きする。その兄が近々結婚をするらしい。私はそれを何とか阻止しようとたくらむ。
「はじめてのお葬式」転校していった、好きだった村崎が交通事故で死んだと連絡が入る。長岡から見知らぬ土地の東京へ行き、彼を弔いに行く。

この本の前に読んだ「ご近所美術館」よりもこちらの方が返却期限が先だったのだけど、15日から読み始める際に自分の誕生日に葬儀屋の話はちょっとなぁ・・・と思い読むのを後に回しました^^;で、次に読んで読み終わりました。返却期限も守れました。ほっ。
でも、この作品なら別に関係なく読んでも良かったなと思いました。
この本はとても良いといろんなところでうかがっていたので気になっていました。ようやく読むことが出来ました。
葬儀屋が舞台なので「死」が絡んでくるためにやはり暗い話が多いのかなと思いましたが、それだけではありませんでした。
セレモニー黒真珠に勤める笹島、木崎、妹尾のそれぞれの過去に向き合う死が出てくるんですけど、出てくる男性が何だかことごとくいけ好かなかったな。
特に笹島の元婚約者。笹島のようにしっかりしている女性が、どうしてこんな男の人に引きずられているのか不思議でしょうがない。彼が別れて5年も経った笹島に対して放った言葉は許されることではありません。絶対に。それでも何だかいい方向へ行っちゃうんだから、それは宮木マジックなんだろうなと思いました。
妹尾についても何だかやりきれないです。家族だとは思っていなくても家族の死って、向き合わなきゃいけない問題なんですね。
木崎の能力?は本人には辛いと思いますけど、村崎を想っていた鳥居にとっては良かったのかなと思う。木崎はまだ若くて少し頼りないけど、とてもいい男だと思いました。
読んでよかったです。素敵なお話でした。

〈メデイアファクトリー 2009.3
             2011.10〉H24.8.18読了