官能と少女官能と少女
著者:宮木 あや子
早川書房(2012-07-06)
販売元:Amazon.co.jp
クチコミを見る

「小さな白い花は可愛いのに、食べると死ぬ。甘酸っぱい花と薄荷煙草。そして無垢なふりをして耽嗜へ誘い死に至らしめる毒」折れそうなほど華奢な身体の女は、可愛らしい動物のような女を抱きしめる……(「ピンクのうさぎ」)。淫靡な宝石に恋する女、自らの幼児体型を哀しむ養護教諭、美しい顔の男を「夫」にした女、おじさまに「連れ去られた」少女、「眠り姫」という綽名の病んだ女子大生。恋の痛みと愛の毒が満ち溢れる、R‐18文学賞受賞作家の濃密な恋愛短篇集。

読みました。うーん、とにかく凄いです。官能的です。
割と主立ってるのはレズビアンと童女?^^;その言い方は酷いか。
宮木さんの新刊だと思って内容も知らずに読んだのだけど、いやはや。びっくりした。でもタイトルも見たら「官能と少女」だもんね。そりゃそうだ。
どの作品も一癖も二癖もある感じだったなぁ…。
ただ、思うのは出てくる女性たちにはみな心に深い傷があるということ。それがとても重々しくて読んでいてつらくなります。
幼いころに両親からの愛を受けなかった女性や、恋愛でつらい思いをした女性。自分の中の何かが欠落していて、それを埋めるために狂気にもにた愛を求める。
愛ゆえに狂おしい女性たちのある意味純粋でまっすぐさが描かれていると思いました。
痛々しくて、でも自分の力ではどうすることもできないもどかしさ。
短編だと思ったら微妙に連作になっていて何度か前のページをめくってしまいました。
その連作の形はあまり良くない形でしたけど…。
私は「春眠」が好きでした。岸田とささやかな愛情を育んでくれたら良かったのになと思う。
そして「春眠」が好きだったからこそ「モンタージュ」はあまり知りたくなかったなとも思う。それほど、少女の傷は深くて抉れていたんだとも思いましたけど。
ところで「光あふれる」はどこまで本当なのだろう?少女が「夫」と呼んでいる人はきっと芸能人なんだろうなと思ったけど…。全部妄想だったんだろうか。
私にはわからなかった。

<早川書房 2012.7>H24.7.29読了