午後からはワニ日和 (文春文庫)午後からはワニ日和 (文春文庫)
著者:似鳥 鶏
文藝春秋(2012-03-09)
販売元:Amazon.co.jp
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「イリエワニ一頭を頂戴しました。怪盗ソロモン」凶暴なクロコダイルをどうやって?続いて今度はミニブタが盗まれた。楓ヶ丘動物園の飼育員である僕(桃本)は解決に乗り出す。獣医の鴇先生や動物園のアイドル七森さん、ミステリ好きの変人・服部君など、動物よりもさらに個性豊かなメンバーが活躍する愉快な動物園ミステリ。

似鳥さんの新刊です。
葉山君シリーズ以外で本を出されたのは初めてなんでしょうか。アンソロジーはありますけども。
舞台は動物園。設定が動物園って結構珍しいですよね。しかも盗まれたのはワニ。獰猛でうかつに近寄れないワニにどうやって近づき捕獲したのか、そしてそこまで価値がのないワニをどうして盗んだのか。更にミニブタ二匹も盗まれます。犯人の目的は何なのか、それを軸に物語が進んで行きます。
桃本(確かに言いにくいな)はあることから同僚を疑い首を突っ込んでいきますが、葉山君よりもしっかりしていて←そこは安心して読めました。
事件の真相については・・・色々やりきれなかったです。犯人が事件を刑事事件に持って行ったのは見事だと思います。今までの境遇も同情します。でも、罪は罪です。ワニをあんなことに使うのって可能なんだろうか・・・分からないけど、残酷ですね。動物を物とみなされているのが悲しかったです。桃本や七森さんのように熱意をもって、誇りを持って働いている人が見つめる現実と考えるとなおさら。
読んでいくうちに七森さんと良い感じになるのかなと思ったら後半の鴇先生の追い上げも良くて^m^鴇先生の過去に何があったのかは分からないけど、鴇先生のように強く生きなければいけない女性はいるわけで、でも桃本はそんな女性が弱さを見せられるような男の人なんだろうなと思ったり。恋愛模様はどう発展していくんだろうなと内容とはちょっと違うことを思いました。

〈文藝春秋2012.3〉H24.7.27読了