犯罪犯罪
著者:フェルディナント・フォン・シーラッハ
東京創元社(2011-06-11)
販売元:Amazon.co.jp
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一生愛しつづけると誓った妻を殺めた老医師。兄を救うため法廷中を騙そうとする犯罪者一家の息子。羊の目を恐れ、眼球をくり抜き続ける伯爵家の御曹司。彫像『棘を抜く少年』の棘に取り憑かれた博物館警備員。エチオピアの寒村を豊かにした、心やさしき銀行強盗。―魔に魅入られ、世界の不条理に翻弄される犯罪者たち。高名な刑事事件弁護士である著者が現実の事件に材を得て、異様な罪を犯した人間たちの哀しさ、愛おしさを鮮やかに描きあげた珠玉の連作短篇集。ドイツでの発行部数四十五万部、世界三十二か国で翻訳、クライスト賞はじめ、数々の文学賞を受賞した圧巻の傑作。

いつもお邪魔しているブログの方が読んでいるのを何度か見かけ、気になって手に取りました。この著者さん、小説家であり弁護士でもあるんですね。
短編集なのですが、一つ一つの物語がとても濃厚です。
弁護士さんが書かれているものなので事件に関して加害者、被害者、その知人、家族、と事件を取り巻く人達の書き方が見事だなと思いました。
また、法律に関してもやはり何だか微妙なところを突いてくるのですよ^^
それがまた凄いです。
どの作品も納得でしたが特に好きだったのは「タナタ氏の茶盌」「ハリネズミ」「エチオピアの男」ですかね。
ちょいちょい日本人が登場したのも嬉しかったです。
悍ましくて怖い殺人事件ばかりが取り上げられているのに読むのが止まらない、不思議な作品でした。
「罪悪」も手元にあるので読みます^^

〈東京創元社 2011.6〉H24.7.6読了