ダンス・ウィズ・ドラゴンダンス・ウィズ・ドラゴン
著者:村山 由佳
幻冬舎(2012-05-25)
販売元:Amazon.co.jp
クチコミを見る

「地獄だっていい。ふたりでいられるなら、地獄でいいの」
愛する人の顔を見るたびに甦る、濃密な哀しみ。でも、離れてはいられなかった――。
井の頭公園の奥深くにある、夜にしか開かない図書館。<龍>を祀る旧家に育った血のつながらない兄妹が、吹き抜けの読書室で時を経て再会した。互いの親に連れられ、初めて目と目が合ったとき、幼い妹はほろほろと泣いた。記憶と今を結ぶため、ふたりは哀しい秘密をのこした故郷を訪れる。
心は、とっくに一線を越えていた。
ファンタジーよりロマンティックで現実より生々しい、ひたすらな愛の物語。

村山さんの作品は久しぶりでした。どうも書かれる傾向が変わってから読もうという気が起きなくて…すみません。何だか…濃厚すぎて^^;別にカマトトぶっているわけではありません。
夜にしか空かない図書館に滝田オリエは求人広告を見て面接に来ます。でも、応募したのは一人だけの即日採用。オリエは選ばれるべくして選ばれたらしい。
いいな…この図書館、私も勤めたいんですけど。どっかに求人広告ないですか?私にも龍のお告げありませんか?←ヤメロ
この物語は4章に分かれていて、1章はオリエの話、2章は巽スグルの話、3章はスグルの妹、巽マナミの話、4章はキリコ+αという感じでしょうか。
それぞれ抱える問題が重すぎです…。オリエの問題は現実の問題なのだけど、それ以外の話は龍が絡んでいるのでどこか幻想的のようなファンタジーのような、御伽話のようでした。
マナミの大学の先生の宮前先生もなかなかいい味出してました。私もああいう先生が近くにいたら、悩んでいることを何もかもしゃべってしまうかも。
スグルは何だかうじうじしてましたねぇ・・・。何だかイラっとしましたけども。どうして全部知った後にああいう態度になるの。マナミの「地獄じゃ、いけないの?」という言葉がとても深く心に入っていきました。マナミの方がよっぽど現実を受け入れているなと思いました。
最後はいろんな捉え方がありますよね。私は正直もっとはっきりした結末がほしかったのだけど、これでいいのかなという気もします。

〈幻冬舎 2012.5〉H24.6.26読了