シフォン・リボン・シフォンシフォン・リボン・シフォン
著者:近藤 史恵
朝日新聞出版(2012-06-07)
販売元:Amazon.co.jp
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オススメ!
さびれた商店街に花ひらいたランジェリーショップ、そこに出入りする人々の人生模様。レースやリボン、小さな花柄の下着が、行き詰まった人間関係をなぜかほどいていく。地方都市に生きる人々の屈託と希望をえがく、摩訶不思議小説集。
「第一話」
佐菜子は母親の介護をしつつパートとして働いている。
両親が介護され、お金を家に入れるのは当たり前だと言って佐菜子の優位に立っていることに対し、佐菜子は何も言わない。いつも通っていた書店が閉店することを知り、次のお店は何か楽しみにしていたが、ランジェリーショップだと知り落胆する。佐菜子は胸が大きいというコンプレックスを抱えていた。
「第二話」
均は書店の後に入ったランジェリーショップが気になっていた。理由を付けてお店の中に入ると女性が一人で商売をしており、印象は良かった。均はあるとき、息子の篤紀がそのお店に入っていくのを見てしまう。
「第三話」
水橋かなえは教師一族の家庭から飛び出し、東京でランジェリーショップを開く。がむしゃらに働いてきたさなか、30代でがんを患う。その後母親が倒れたことを知り、地元へ戻る決意をする。
「第四話」
お店に気品のあるご婦人がやってきた。彼女は「郷森の市原」と言えば誰もが分かる資産家だという。彼女はやってきてもいつも買うそぶりをするが買わずに帰る。商店街の呉服店の女主人がその女性には気をつけろと言った。

ランジェリーショップ、行ったことありません…。私には敷居が高くて…。
私ぺちゃぱいなのですよ〜。ジョギングシーズンになったら心なしか更に小っちゃくなってる気がするし。。。ちっちゃいから恐れ多くて。
でも、こんなふうにかなえさんに優しく接客してもらえたら、入ってみても良いかなと思う。
第一話の佐菜子の境遇があまりに可哀相で親に腹が立ったのだけど、何だか共感できる部分もあって。かなえさんが言った言葉があまりにも私にもあてはまってちょうど似たようなことがあったもんだから、読んでいて不覚にも涙が出てきて電車に乗っている時だったので拭うのが大変でした。
p56「いくつになってもね。親と子では絶対にわかり合えない部分があるんですよ。それでも大人になれば、親の方は無理にわかる義理もないし、子供の方じゃ無理にわかってもらう義理もないわけですからね」
この言葉を読んで涙が出るっていう事は、私は親に自分の事を理解してほしかったんだなと思って。でも分かってもらえてないと思っているから、苦しいんだなぁと思って、それが分かって涙が止まらなくなったんだと思うんです。
でも、親が完璧な人間なわけでもないし、もちろん私も全然まったく完璧な人間なわけがないんだから、仕方ないんだって割り切る部分も大人になったら必要なんだって今更気づきました。かなえさんに教えてもらった気がします。
その後の言葉も好きでした。
第二話の青年の話も好きだったし、かなえさん自身の話も好きだった。
かなえさんは凄いです。母親に酷い言葉を言われて傷つけられても側に寄り添えることが出来るんですから。私も早く大人になりたい。

〈朝日新聞出版 2012.6〉H24.6.21読了