玩具店の英雄 座間味くんの推理玩具店の英雄 座間味くんの推理
著者:石持 浅海
光文社(2012-04-18)
販売元:Amazon.co.jp
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科学警察研究所の職員・津久井操は、事件を未然に防げるかどうか、の「分かれ目」について研究をしている。難題を前に行き詰まった操が、大学の大先輩でもある大迫警視正にこぼすと、ひとりの民間人を紹介された。「警察官の愚痴を聞かせたら日本一」と紹介された彼は、あの『月の扉』事件で活躍した“座間味くん”だった―。
「傘の花」津久井操は大学の大先輩である大迫と民間人の「座間味」君と飲むことになった。その時に出た話題が、ある失言をしたことで非難されていた国会議員が殺された事件だった。
「最強の盾」警察官はスタンドプレーで動いては行けないと言われている。しかし、TPMSという外国企業を狙う団体の人物を追っている時、ちょうどそこを通りかかった女性とベビーカーに乗った赤ん坊が襲われそうになった時に一人の警察官がいち早く気付いて動いた事で2人の命が守られた。しかし、座間味君は違う事を考えていたようだった。
「襲撃の準備」ある高校生を追って高校を警備していた警察官。しかしその眼を潜り抜けて追っていた高校生が校内に侵入。殺人事件へ発展してしまった。
「玩具店の英雄」警察官が娘と一緒にデパートへ来ていた。奇声が聞こえたためその場所へ行ってみると刃物を持った男が女性を襲っていた。そしてその男は彼のもとへ。もうだめかと思ったとき、娘と同じ幼稚園へ通う子供の父親が民間人であるにもかかわらず助けてくれた。
「住宅街の迷惑」ある宗教団体の代表が家を建てた。その家には仏像が埋め込まれており、付近の住民から苦情が出ていた。警察官が警備している中不審な人物が現れる。
「警察官の選択」釣りを趣味としていた警察官の2人は非番に釣具屋にいた。そこでトラックの交通事故を目撃。惹かれた子供は心肺停止状態で蘇生をしていたのだが、止まっていたはずのトラックが動き出していた。警察官の一人は何と自分の身一つでトラックを止めようとした。
「警察の幸運」津久井は彼氏にプロポーズをされた。彼に1週間待ってほしいという。1週間後には「見上げるような存在」のあの人に会うからだ。

座間味君シリーズ第3弾です。
「月の扉」「心臓と左手 座間味くんの推理」に次いでですね。
「月の扉」で20代半ばくらいだった座間味君ももうすっかりパパになっちゃったんですね。(しんみり)30代半ばになっているだなんて!信じられない。
あの彼女さんとの間に子供もいて。小説を読んでいてこういう時間の経過を読むことも分かるって良いな。
相変わらずの鋭い推理力。座間味君の力は衰えていませんね。
加えて今回から津久井操という新キャラが登場。通常ならいけ好かない感じなポジションの人ですが^^;エリートだし。
この人も座間味君の凄さを知って多少プライドが傷ついたんじゃないだろうかと思いますが自分はまだ未熟なのだと気づいたのが良かったです。
まあ、前回も思いましたが、警察は気づかなかったのか?と思わなくもなかったですがそれでもやはり2つの結末を書ける石持さんは凄いなと思います。

〈光文社 2012.4〉H24.4.29読了