猫色ケミストリー猫色ケミストリー
著者:喜多 喜久
宝島社(2012-04-06)
販売元:Amazon.co.jp
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計算科学を専攻する大学院生の明斗は、学内に棲みつく野良猫が唯一の友達だ。ある日落雷で、近くにいた明斗と猫、同級生の女子院生スバルが同時に意識を失う。気がつくと明斗の魂はスバルに、スバルの魂は野良猫に入れ替わっていた!元にもどるため必死に奔走する二人は、猫の餌から、研究室で覚醒剤の違法な合成事件が起きていることに気づく。餌に薬物を混入した犯人の目的は?果たして二人は、元の体にもどれるのか。

著者さんの2作目です。装丁のイラストが前作の人と同じだしタイトルもあまり変わらないしきっと難しいもの(曖昧)がたくさん出てくるんだろうなあと思ったらやっぱりそこらへんは難しかったです。
意識が入れ替わるという昔からあるネタをどう料理するのか興味があったのですが、物凄い意外性はなかったかな。でもテレパシーという形で脳が人間の2人が会話しているのは面白かったです。どうして入れ替わってしまったのかという考えも理屈っぽくてそれも興味深かった。
それにしても前作もそうだったけどどうしてこうこの人の書く主人公の男どもはそろいもそろって鈍いんだろうか…。「この鈍感野郎!」って殴りたくなりました。あ、殴るときは男性の姿の時で。
高校生の時のトラウマから9年間人とかかわろうとしていなかった明斗が女生徒姿に入れ替わったことでコミュニケーションを取らなければならない状況に陥って、ある意味良かったのかなと思います。
スバルは前々から気になっていたんですね。ふふふ。ラブっぷりが初々しくて可愛かったです。
ただ、事件の犯人と動機が何となく読めてしまってそこがちょっと残念だったなと思いましたが。私なんかに読まれるというのは相当の事だと思うので^^;
でも、著者さんの書かれる作品は私と相性が良いみたいで読んでいるときに楽しいのでこれからも読んでいきたいなと思います。
出来れば今度は、ケミストリーが全く関係ない作品を書いてほしいなと思います。
2人の関係が少しでも進展していますように。

〈宝島社 2012.4〉H24.4.24読了