
著者:東野 圭吾
集英社(2012-01-20)
販売元:Amazon.co.jp
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オススメ!
新人編集者が初めての作家接待ゴルフで目の当たりにした、”伝説の編集者”の仕事ぶりとは。
単発のドラマ化企画の話に舞い上がる、若手作家・熱海圭介のはしゃぎっぷり。
文壇ゴルフに初めて参加した若手有望株の作家・唐傘ザンゲのさんざんな一日。
会社を辞めて小説家を目指す石橋堅一は、新人賞の最終候補に選ばれたはいいが・・・・・・。
小説業界の内幕を暴露!!作家と編集者、そして周囲を取りまく、ひと癖ある人々のドラマが楽しめる、全12話の連続東野劇場。
いや〜面白かった。爆笑でした。
ユーモアがありつつもとてもリアルな世界なんだろうなと思いました。小説家の東野さんならではの書かれ方なんだろうなと思います。でも、出版社側の話も面白かったです。結構小説家の悪口も言っていましたよ^^;
小説家同士の話とか、酸いも甘いも経験してきた著者さんだから言えるのかなと思いました。
出版社の編集者の獅子取も小堺も青山もそれぞれ個性的で面白かったし、若手作家の熱海も唐傘も面白かったです。
微妙に時系列になっていたのもまた良いですね。話が繋がっていていろんな人の目線で読めるのも面白かったです。
そして巻末!最後まで読ませますね〜。
「伝説の男」いやー、営業の鑑ですね。ここまでできる人はなかなかいません。素直にすごいと思います。私は知り合いにもなりたくないし関わりたくないですけど^^;
「夢の映像化」小説家さんって映像化されるの嬉しいのかな。以前さだまさしさんが映像をするという時点でそれは監督に全て渡しているので好きなように料理してくださいと思うって言っていましたが、読者目線だと嫌です^^;
熱海さんはちょっと勘違いな人みたいですけど、惜しかったですね〜。
「序ノ口」このお話はとても印象深いです。自分は場違いだと思っていた新人作家の唐傘だけど、ベテランの作家たちが唐傘にいろんなアドバイスをくれるのです。最後の重鎮と言われる人もアドバイスをくれて、また僕の小説はもっとすごいよと言ったのが印象深いです。生前、手塚治虫さんももう神と崇められている時でも新人漫画家に向かって僕の方がもっとうまく書けるよって言ったそうです^^その負けず嫌いで常に先へ向かおうとする意欲が天才を生んでいるんだなと思った事を思い出しました。
「罪な女」男って馬鹿だなと思いました。(失礼)熱海が哀れでなりません。唐傘の冷静さが2人の能力の差も同時に感じました。
「最終候補」やっぱり逃げ道を作っちゃダメなんだなと思いました。作家という仕事はなるのはそんな生半可なことでは出来ないんですよね。この人は最後候補に残らなくて良かったと思います。賞を取ったらきっとこれからの人生もっと大変だと思う。余計なお世話だけど。
「小説誌」まず思ったのはこんなに理路整然と大人と会話ができる中学生はそういないだろっていう事なのだけど。啖呵切った青山がかっこよかったです。私も賛辞を送りたいです。
「天敵」私も騙されました。ただの勘違い女だと思っていたのに凄い人です。この人ならきっと素晴らしい相方になると思います。
「文学賞創設」確かに聞いた事もない賞もたくさんあるよなぁ…と思いました^^;賞を獲ったからって将来が決まるわけではないんですよね。シビアな世界だ。この賞はあの人が受賞して良かったと思います。素敵な方で気品も感じました。
「ミステリ特集」ホント編集者って大変なんですね^^;小説家をうまく書かせるコツなんかも必要なのか!と思いました。まあ、程度はあると思いますが。駆け引きですよね〜。熱海さんは扱いやすそうだ。←
「引退発表」こういうのしたい人っているんでしょうね〜。周りの迷惑とか考えずに。失礼…。解決かと思ったら最後の展開にぷっと笑ってしまいました。
「戦略」なんだかんだで売れてきている傾向が見えて良かったですね。出版社の思惑とは違うと思いますが。にしてもどんなに面白い小説でも著者がアフロでそんな恰好していたら私は引くなぁ…^^;
「職業、小説家」名の知れた人ならまだしもあまり知られていない人だったら家族の気持ちも分かりますけどね…。でもこのお父さんはちゃんといろいろ自分の足で調べていたから頭ごなしの反対じゃないし好感が持てました。そしてカッとなって取った行動。子供みたいだけどとってもかっこよかったです。こういうお父さんだったら幸せだろうな。
<集英社 2012.1>H24.4.13読了
やっぱり、作家さんにとって映像化は自分の名前や作品を売るいい機会だから嬉しいものなんじゃないですかねー。頑なに断る作家さんもいるようですが。
巻末の宣伝ページも細部まで拘って作ってあって、最後の最後まで楽しめる一冊でしたね^^