PKPK
著者:伊坂 幸太郎
講談社(2012-03-08)
販売元:Amazon.co.jp
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その決断が未来を変える。連鎖して、三つの世界を変動させる。こだわりとたくらみに満ちた三中篇を貫く、伊坂幸太郎が見ている未来とは―。未来三部作。

未来三部作と書かれていますが、未来っていう書き方は少し違う気がしますね…。
未来も過去もどちらも関わっているというか…因果応報?っていう事なんでしょうか。
伊坂さんの新作は1年半ぶりなんですね。ついこの間エッセイですが「仙台ぐらし」を読んでいたのでそんなに久しぶりだという気はしませんでした。
読んでいて「魔王」を思い出しました。普通に生活しているのだけど、背後に何か大きな禍々しいものが渦巻いているような、暗い影が潜んでいるような世界。どこがと言われると上手く伝えられないのだけど、そんな感じがしました。
出てくる人たちはどこかしらで繋がっているんですよね。その糸を手繰り寄せるのが難しい・・・。
伊坂さんらしい作品だなと思いましたが、この作品は伊坂さんのいう第2期目にあたるような作品なのかなと思いました。嫌いじゃない、嫌いじゃないんですけど、メッセージ性が強くて私には難しいんですよね^^;
政治家は作家の子どもで27年前にマンションから落ちてきた子どもを助け、一躍ヒーローとなる。そしてなぜか10年前のPKのシーンの謎を調べてほしいと秘書に依頼する。そしてその秘書の正体がちょっと面白い。
マンションから落ちてきた子供を助けるシーンを目の当たりにしたことで、サッカー選手の小津と宇野はどんなに辛くてもサッカーを続けようと決意する。
人は運命で繋がっているんだと思わせる展開。流石だなぁ。
「臆病は伝染する、そして、勇気も伝染する」という言葉が好きでした。
伊坂さんらしい素敵な言葉です。
作家さんの何でも気になる性分は伊坂さん本人の性格から取っているような気がしたのだけど気のせいかな?
最後、あとがきがあるのが珍しいなと思ったのだけど、その内容が伊坂さんらしいです。良いじゃないか、震災後に書いてて凄いねって言われて、えっへん!って思っても。そうできないのが伊坂さん。そういうところも好きです。

<講談社 2012.3>H24.4.4読了