恋都の狐さん恋都の狐さん
著者:北 夏輝
講談社(2012-02-16)
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豆を手にすれば恋愛成就の噂がある、東大寺二月堂での節分の豆まき。奈良の女子大に通う「私」は、“20年間彼氏なし”生活からの脱却を願って、その豆まきに参加した。大混乱のなか、豆や鈴を手にするが、鈴を落としてしまう。拾ったのは、狐のお面を被った着流し姿の奇妙な青年。それが「狐さん」との生涯忘れえない、出逢いだった―。第46回メフィスト賞受賞作。

メフィスト賞受賞作って読むのは初めてな気がします。
場所が奈良で狐さんのしゃべり方が雰囲気的にマキメさんとかモリミーさんをちらりと思いだしました。
主人公は20年彼氏のいない生真面目な女の子の「私」
この子、本当にとってもいい子。授業も真面目にこなすし、困った人がいたら助けるし人のことをちゃんと信じるし、約束は必ず守るし。
私が男だったらこういう子を選びますよ。はい。
でも、この子がこのまま彼氏が出来ないんじゃないかと心配になるのは分かります。中高大女子高っていう人、友達でもいましたけど出会いのない人は本当にないですよね。この子の妹みたいに上手く見つける人もいるけどそういう人ばかりじゃないですよ。
「私」がとってもいい子だから、狐さんも揚羽さんも信用しているのだと思うし、飯田さんも何かにつけてかまってくれるのだと思う。
始めは狐さんは何者なんだろうと思ったのですが、終盤にいろいろ分かって何とも物悲しくなりました。
でも、それを乗り越えて良い感じに展開していくのかと思いきや…あれ?っていう結末。
狐さんだって意識してるのにそういう展開になっちゃうの?
気持ちは分かるけど、そこは頑張っても良かったんじゃ?若干独りよがりな答えなんじゃないのかなぁとちょっと物悲しい終わりでした。
それでもお祭りの良さも分かったし、人と人との関わりってやっぱりいいなって思ったし、素敵な作品でした。

<講談社 2012.2>H24.2.29読了