人面屋敷の惨劇 (講談社ノベルス)人面屋敷の惨劇 (講談社ノベルス)
著者:石持 浅海
講談社(2011-08-04)
販売元:Amazon.co.jp
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東京都西部で起きた連続幼児失踪事件。我が子を失った美菜子はじめ6人の被害者家族は、積年の悲嘆の果てに、かつて犯人と目された投資家、土佐が暮らす通称「人面屋敷」へと乗り込む。屋敷の中で「人面」の忌まわしき真相を知った親たちの激情は、抑えがたい殺意へと変容。さらに謎の美少女が突然現れたことで、誰もが予想すらしなかった悲劇をも招き寄せていく。論理(ロジック)×狂気(マッドネス)。

石持さんの新刊。やっぱり独特のちょっとツッコミどころのある隔離された空間って言うのが石持さんらしいですよね^^;
普通お父さんが殺されてあんな冷静な高校生はいないし、明らかな不法侵入の大人たちを家の中に入れたままにしておくのってありえないですよね。
とまあ、そこらへんは許容範囲だったんですけどね。やっぱり犯人の行方も他の作品と同じ感じだったしなぁ。
今回のコンセプトは「石持館」だったみたいです。まあ、そんな感じといえばそうですが。でも閉鎖された空間での事件というと私はやっぱり「扉は閉ざされたまま」が凄いと思ってしまうのだが。あ、でも犯人の行方は似たような感じか・・・?
まあ前の作品と比べてもしょうがないですが。
子どもを失った家族会の人たちはいろんな人たちがいましたねぇ・・・。
美菜子はまあ、普通の・・・というか冷静な人でしたよね。
そして美菜子は勇作がいなくなったことで自分を責め、また勇作がいなくなったことがきっかけで事業が成功し、お金を得ることになった。だから勇作に対して罪悪感を凄く持ってる。
土佐が描いた絵の勇作が笑顔でいることから、自分に会って勇作は喜んでくれるのだろうかと考えるようになる。
罪悪感を抱えているというだけで、勇作を探して、見つけたら抱きしめる権利はあると思う。
他の子どもは、虐待を受けている子もいたけど、美菜子は虐待ではなかったのだし。
自分を責めているのは愛している部分もあったからだと思うし。
由規美なんて最低ですよ。美菜子の言うとおり、子どもを誘拐されたかわいそうな母親という位置に満足していただけなのだと思う。
子どもがいるかもしれないからって、他に住んでいる人もいるのにプライバシーの侵害にまで及ぶほど強行する権利はないですしね。
やっぱり後味は良くなかったけど、希望は見えたから良かったかな。
その希望も微妙に突っ込みどころはあるけど^^;
それでも、美菜子と中川は幸せになってほしいなと思う。子どもを失ったときのことと今までの過程を考えるとなおさら。

〈講談社 2011.8〉H23.9.12読了