
著者:山口 幸三郎
アスキーメディアワークス(2011-01-25)
販売元:Amazon.co.jp
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オススメ!
「老舗の味」鹿毛栄一郎は洋食店を営んでいる。甥の俊も働いてくれ、あとを継ぐとまで言ってくれていた。しかし、俊の母親で栄一郎の妹から俊を渡して欲しいという連絡、また知り合いからホテルで働かないかと持ちかけられ、店を畳むべきか悩んでいた。同じ頃、日暮旅人は行きつけのお店の店員から依頼を受けていた。伯父の作るハヤシライスの隠し味を探して欲しいと。
「死体の行方」銀行の現金輸送車を襲った3人が、お金の行方を捜すため、また裏切り者が誰かを捜すために日暮旅人を拉致してきた。この強盗を計画した木内という人物が事務所で血だらけで発見されたのだが目を放した隙にその死体が消えていた。
「母の顔」日暮旅人が娘の灯衣を迎えに行くと灯衣はおらず、また魅亜という女の子の姿もなかった。魅亜の母親は癇癪を起こしており何でも保育園のせいだと罪をなすりつけようとする。「みあちゃんのだいすきなところにいってきます」という書置きを頼りに2人を探すことに。
「罪の匂い」山川陽子の大学の同級生である川村祐介が借金取りに追われ行方不明だという。また川村の恋人の七尾満里奈も3日も無断欠勤しているのだという。川村はともかく満里奈の行方が心配な陽子は、悩んだ末旅人に2人の行方を依頼する。
第2弾です。読み終えた後にさらに謎が深まっていったのでまた続くんかい!と思いましたが、本当に読む手が止まらずあっという間に読んでしまいました。イヤー面白いです。
主要の人物が本当に個性的なんですよね。旅人もユキジ君も灯衣ちゃんも陽子も陽子の先輩もなかなかいいです。
そして何より、旅人の過去や灯衣ちゃんの両親のことが気になります。
まだ核心に触れていない段階ですが、少しそのことについて書かれていましたね。
あんなに大人びている灯衣ちゃんでも、やはりお母さんと一緒に暮らしたいようで、お母さんはどうして来てくれないのかと泣いているところは事情を知らない私も胸が苦しくなりました。ホント、そこらへんが気になります。
旅人は5歳まではきっと他の子と変わらない五感をもった男の子だったんですよね。
最後の章に旅人の過去らしき出来事が書かれていましたが、本当に酷くて衝撃でした。そんな苦しみを味わってしまったから、こんな体質になってしまったんでしょうね。
また、今回の事件に関わったことで一瞬だけでも旅人は嗅覚を取り戻し、ずっと探していた人物を見つけることが出来たようです。
嗅覚を取り戻した時、また再び失った時の旅人があの温和な雰囲気とは全く異なっていて憎悪に包まれた雰囲気が伝わり怖かったです。
第3弾は最近発売されたようですね。刊行ペースが速くて助かります。もう気になって気になって。次で完結するのでしょうか。シリーズは終わらなくても旅人の闇についてはもういい加減知りたい・・・
〈アスキーメディアワークス 2011.1〉H23.7.30読了
日暮旅人シリーズの感想をまとめて。
2巻目まで読んで、謎の出し方が絶妙だと思います。
1巻目では、最後の最後まで「良い話」だったのが、エピローグでひっくり返され、混乱して読了。
2巻目では、黒い面と心優しい面が入れ替わりでなれたところで、少しだけ過去が示唆されて、で読了。
それぞれ、気になる引きだな、と思います。
個人的には、電撃文庫レーベルで発売された、デビュー作が、どちらかというと温かい雰囲気だったので、こういう作風も書く方なんだな、というのに驚きました。