真夏の方程式真夏の方程式
著者:東野 圭吾
文藝春秋(2011-06-06)
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夏休みを伯母一家が経営する旅館で過ごすことになった少年・恭平。仕事で訪れた湯川も、その宿に滞在することを決めた。翌朝、もう一人の宿泊客が変死体で見つかった。その男は定年退職した元警視庁の刑事だという。彼はなぜ、この美しい海を誇る町にやって来たのか…。これは事故か、殺人か。湯川が気づいてしまった真相とは―。

ネタバレあります

久しぶりの湯川シリーズですね。
このシリーズは好きですし、前回の作品で内海刑事に慣れたかなぁと思っていたのだが。
やっぱり湯川・草薙コンビがいいなと思わずにはいられなかったなぁ。
内海刑事は今回大活躍しているから、そう思うのは申し訳ないのだけど。
そして湯川さんを福山さんに似せようとしている感じがドラマを見ていない人間としてはちょっと嫌。
今回はトリック云々というよりは人と人との関わりが肝でしたね。
それは、川畑家族であったり、仙波と塚原であったり、湯川と恭平だったりするのだけど。
湯川はきっと、物凄く始めの段階でトリックに気づいていたんですね。
だから、一人の人生を大きく変える可能性があるなんていう言葉を残したのだと思う。
正直恭平は大っ嫌いだったのだけど。
変に大人びていて親を舐めてて、興味のないことはしないし、自分のやりやすい方へ流れていくことしか考えない。
でも、湯川とであったことで全然興味のなかった科学という分野に興味を持ったみたいだし、多少丸くなったような気がするし、それは良かったかなと思うけど。
でも、いろいろ不憫だなぁと思うことはあるけど・・・
う〜ん・・・難しいです。
それよりなにより、叔父さんがしたことが私は許せません。
いくら自分が身体が動かないからって、恭平にさせたことが私は許せない。
成美や奥さんならまだしも、恭平は本当に無関係なのに。
子供だから分からないって思っているんだろうか。
これからもしかしたら一生恭平は責任を背負うかもしれないとか、思わなかったのかなぁ。それが哀しかった。
今回は湯川の人間らしさが出ていた作品でしたね。
湯川って子供嫌いだった気がするんですけど・・・。今回は特別なんでしょうか。
ずっとあの宿にい続けたのも恭平に気にかけていたのも珍しく警察に協力しようといったのも全て恭平のためなんだと思ったら、何だかじんと来ました。そういう部分もちゃんと持ってるんですね〜(失礼)

〈文芸春秋 2011.6〉H23.7.25読了