黄泉坂案内人黄泉坂案内人
著者:仁木 英之
角川書店(角川グループパブリッシング)(2011-07-01)
販売元:Amazon.co.jp
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タクシードライバーの磐田速人は、ある日「入日村」という村に迷い込む。そこは、河童や天狗などの妖たちが闊歩する不思議な村だった。村で出会った少女・彩葉は、ここは現世とあの世との狭間に漂っている場所だという。また、黄泉の国へと続く坂を上り切れずに、さまよう魂が増えているというのだ。現世に戻れなくなった速人は、彩葉と共に魂の「未練」を解く仕事を始める羽目に…。

僕僕先生以外の作品。仁木さんの作品はシリーズ以外も面白いです^^
磐田速人ことハヤは会社の社長だったが、会社は倒産しタクシーの運転手として働いていた。あるとき家に帰ると妻と子供は妻の実家へ帰りもう会いたくないと言う。タクシーで会社へ向かおうとしているときに不思議な客人を乗せ、その後なぜか丸1日経過していた。
ハヤの境遇があまりにも悲しかったです。会社が倒産。家族は離れ、仕事も謹慎。そして黄泉へつづく途中の場所で、名前を取られて。
始め彩葉がいくら言っても理解していなくて、分からない奴だなぁと思ったのだけど。
ずっと愛おしいと思っていて大事だと感じていた家族に忘れられてしまうっていうのは、誰に何と言われようと忘れられているはずがないと思ってしまうものね。
それでも、自分の境遇を受け入れてからのハヤは自分の仕事を全うしていたし、合っていたとも思います。
この世に未練のある人たちへの対応も良かったと思う。子供のお受験に何よりも情熱を傾けていた母親や何も未練はないと言うのになぜか成仏できない男性。家族にいつか言い思いをさせてやるといい続けて実現しないまま死んでしまった男性。
成仏できない理由は様々ですけど、その理由をちゃんとわかって受け入れて解決させて。ハヤと彩葉は名コンビだったと思います。
最後の怒涛の結末には驚きました。
まさかあんな形になるとは・・・。悲しくてもどかしさも感じましたが、あれでよかった・・・のかなぁ。
納得いくような行かないような・・・。
皆が幸せに終わってほしかった。っていうのが本音かな。

〈角川書店 2011.7〉H23.7.11読了