キノの旅―The beautiful world (電撃文庫 (0461))キノの旅―The beautiful world (電撃文庫 (0461))
著者:時雨沢 恵一
メディアワークス(2000-07)
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人間キノと、言葉を話す二輪車エルメスの旅の話。「ひとつの国に滞在できるのは3日間」というルールを自らに課し、様々な国で様々な人と出会い、様々な出来事を体験していきます。このシリーズは短編形式で、ほとんどが一話完結のエピソードになっています。キノが訪れる国々の変わった風習や異なる価値観に触れることで、笑ったり、涙したり、ときには人間というものについて考えさせられたりしてしまう作品です。手に汗握るような波乱万丈の展開でもなければ、壮大な冒険譚でもありません。しかし、ひとつひとつのエピソードはどれも読者に何らかの形で、世界の美しさ、人間の素晴らしさといったものを教えてくれるのです。「止めるのはいつだってできる。だから、続けようと思う」。キノとエルメスの終わらない旅は続きます。
「第1話 人の痛みが分かる国」
機械が発達し、人がいなくても成り立つ国。人が全くいないのかといえばそうではなく、キノは1人の男性と出会い、この国の人々が何故外へ出ないのかを聞く。
「第2話 多数決の国」
この国には人の気配がしない。キノはようやく1人の男性を見つけるが、この国にはその人しかいないのだという。
「第3話 レールの上の三人の男」
レールの上を走っていると、50年同じ仕事を続けている老人3人に出会う。
「第4話 コロシアム」
キノが着いた国で入国審査をすると、市民権を得るために戦わなければならなくなった。以前はこんな国ではなかった。
「第5話 大人の国」
この国では12歳になると大人になるために手術をする。それを当然と思っていた少女だったが、旅人のキノと出会ってから、その考えに疑問を持つようになる。
「第6話 平和な国」
キノが入国すると、たくさんの人に出迎えられた。かつて隣国と戦争をしていた国。今は平和だと言う。しかし、その代償となるものもあった。

今更ですみません^^;
昔から気にはなっていたのですが、何だか凄く続きそうで、近くの図書館にはないし買い続けると高いし(10年前は高校生だったので・・・)、と言う事で気になりつつも読んでなかったんです。
でも、今勤めている図書館にあることを知り、またこのシリーズが出来てちょうど10周年だか10年目らしいということで、それをきっかけに読んでみようと思いました。
こういう物語だったのですね。面白かったです!
様々な国が登場して、読んでいる側からすると、突っ込みどころは満載でどうにかならんものなのかと思っていたのだけど、その国の概念ってその国独自のものだから疑問に思わないんだろうな。それが当たり前になっていて。それって凄く怖い事なのかも、って読んでいて思いました。
そしてそのありえない設定の国をたくさん描ける著者さんが凄いですよね。これからもこういう形式がずっと続いていくんでしょうし・・・。
キノの話も読んでいくうちに分かって、もの凄く切なくなりました。
キノも辛い過去があったから、旅を続けているんですね。
最初と最後にあった、旅の途中のキノとエルメスの話。全部読んだ後に、プロローグでのキノの言葉の意味が理解できて切なくなりました。
まだまだ先は長いですが、ちょっとずつ読んでいきたいなと思います。

〈電撃文庫 2000.7〉H23.5.25読了